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経常研究


7.水土壌圏環境部


1)環境汚濁物質の水土壌環境中における挙動に関する基礎的研究
〔担当者〕 内山裕夫・冨岡典子・徐 開欽・越川 海
〔期 間〕 平成9〜13年度(1997〜2001年度)
〔目 的〕 水土壌環境中において環境汚染物質の挙動および生態影響を明らかにするために,これらの生成および分解にかかわる生物を検索し,また汚染物質の代謝・変換量等を計測・予測することを目的とする。本年度の研究では,有機物汚染土壌の土着微生物による自然浄化能の評価手法として炭素安定同位体比を利用した手法の検討を行った。
〔内 容〕 潮汐を再現した海浜シミュレータ(砂4.5kg含)を構築し,砂に付着した天然有機物分解に伴うCO2の発生速度およびその同位体比(δ13C)を20日にわたって毎日測定した(対照系)。さらに有機汚染物質としてC重油10gを加えた系において同様な測定を行った(油濁系)。CO2発生速度は両系でほとんど差がなく,本実験条件においてはCO2発生速度から油分解速度を評価するのは困難であった。一方δ13C値はCO2発生源の同位体比に影響を受けて両系で有意に異なり,同位体の保存関係から油分解速度の評価が可能であることが示された。

2)流域水環境管理モデルに関する研究
〔担当者〕 村上正吾・井上隆信・林 誠二・牧 秀明
〔期 間〕 平成8〜15年度(1996〜2003年度)
〔目 的〕 河川流域の持続的発展のためには治水・利水に加えて生態系を含む水環境の管理・保全が必須条件となるが,これらはトレードオフの関係にあり,その最適解を求めることは容易ではない。本研究では,流域全体,上流から下流への水と物質の輸送過程の物理・化学的モデル化を進め,治水・利水・水環境の質と量にかかわる個々の物理化学的機構の解明を行っている。次に,これらの個々の機構が全系として影響を与える水界生態系,陸上生態系を含む形で,流域の水環境の理解を進め,水・物質・エネルギーの効率的な配分と生態系機能の適切な管理を可能にする流域環境手法の開発を目的としている。
〔内 容〕 日本の場合,河道沖積地に人間の生産社会活動が集中し,特に底平地における水の輸送現象の理解が重要である。本年度は開発が進行する低平な農業地帯である涸沼川流域と,局所的には保全されつつも,流域を通じた形で人間活動の影響が徐々に現れてきている釧路湿原を含む釧路川流域を対象に開発した水環境管理モデルの適用性の検証のための現地観測を涸沼川・釧路川両流域で行った。

3)衛星リモートセンシング,地上実測及び地理情報による蒸発等の水文・環境解析に関する研究
〔担当者〕 宇都宮陽二朗・藤沼康実*1
(*1地球環境研究センター)
〔期 間〕 平成10〜12年度(1998〜2000年度)
〔目 的〕 水文・熱環境解析システムの構築のため,地表温度と植被の関係解明,画像と地理情報とのリンクに関する研究を実施する。さらに,地理情報を分析し空間概念や地球観の変遷の解明を試みる。
〔内 容〕 衛星情報と地上実測,地理情報のリンクによる環境・防災関連情報ベースとGIS構築に関する成果を報告した。自然環境基礎調査,国土数値情報に海陸境界域における自然・人文に係る災害情報を加え,GISの利活用法を検討した。また,実験圃場における微気象観測を継続するとともに,内外特に西欧の歴史的な地理空間情報を調査した。
〔発 表〕 g−25

4)衛星,地上実測及び地理情報による東アジア地域における水文等の環境解析に関する研究
〔担当者〕 宇都宮陽二朗・藤沼康実*1
(*1地球環境研究センター)
〔期 間〕 平成8〜10年度(1996〜1998年度)
〔目 的〕 中国東北部を中心とした東アジア地域の衛星,地上観測及び地理空間情報による熱及び水文環境の広域解析を行う。
〔内 容〕 中国東北部を中心とした熱及び水文解析のため,NOAA等の衛星情報,地上におけるモニタリング及び地理空間情報により研究を進めるため,中国側研究者と情報交換を継続した。

5)土壌中における無機汚染物質の挙動に関する研究
〔担当者〕 高松武次郎・越川昌美
〔期 間〕 平成8〜12年度(1996〜2000年度)
〔目 的〕 酸性降下物に含まれるイオウは陸水域の酸性化の原因となる。しかし,イオウは環境中で生物の働きや化学反応によって容易に形態変化し,プロトンの放出や固定を伴うので,負荷されたイオウの影響(酸性化の程度)は,その形態変化過程に依存する。中でも,硫酸還元や有機化の過程が重要である。ここでは,底泥中におけるイオウの有機化反応を明らかにすることを目的とした。
〔内 容〕 琵琶湖で底泥コアを採取し,表層と下層から腐植酸とフルボ酸を抽出して,含有イオウの形態を分析した。イオウは表層より下層の有機物に多く含まれ,特に,下層のフルボ酸でのエステル硫酸の富化が特徴的であった。また,S/C比も明らかに下層で増大した。下層の有機物中では,δ34S値の低下が見られなかったので,硫酸還元よりはむしろ,生物遺骸の分解に由来するイオウ化合物が下層の有機物に取り込まれたと考えられる。

6)土壌中における微生物の挙動に関する研究
〔担当者〕 向井 哲
〔期 間〕 平成8〜12年度(1996〜2000年度)
〔目 的〕 前年度においては,土壌をオートクレーブ処理すると少なからぬ量のCOが発生し,その発生量はオートクレーブ処理回数を多くすると増大することを明らかにした。そこで,このCO発生源を探ることを目的として,土壌のCO発生量と数種の土壌有機成分含量との関係を調べた。
〔内 容〕 土壌の全炭素含量,水溶性全有機物量,水溶性ヘキソース量を測定し,これらの量とCO発生量との関係を調べた。その結果,オートクレーブ処理を1回及び3回施した場合にも,CO発生量と上記の有機成分含量,とくに水溶性全有機物量との間に極めて高い相関関係が認められた。
〔発 表〕 g−43

7)土壌の酸性化が土壌生態系に及ぼす影響
〔担当者〕 服部浩之
〔期 間〕 平成8〜10年度(1996〜1998年度)
〔目 的〕 酸性降下物による土壌の酸性化が問題となっている。土壌中の重金属の多くは不活性の形態で存在しているが,土壌が酸性化すると可溶化し土壌微生物や植物に影響を及ぼすことが予想される。本研究は,土壌の酸性化が土壌中の各種重金属の形態変化に及ぼす影響を明らかにし,さらにそれらの重金属の形態変化が土壌微生物や植物に及ぼす影響を明らかにすることを目的としている。
〔内 容〕 汚泥を連用し,汚泥由来の重金属が蓄積した火山灰土壌に,硫酸アンモニウム(硫安)を連用して,土壌pHを低下させた。この土壌と硫安無添加の対照土壌にコマツナを栽培し,その元素組成を比較した。その結果,硫安連用土壌ではコマツナの根の銅濃度が対照に比べて約2倍と高く,茎葉部の亜鉛濃度も対照の約2倍であった。また,マンガン濃度も対照に比べてやや高かったが,逆にリン濃度は根部でやや低かった。

8)地盤と地下水の環境に関する物理・化学的研究
〔担当者〕 陶野郁雄・土井妙子・稲葉一穂
〔期 間〕 平成9〜11年度(1997〜1999年度)
〔目 的〕 地盤と地下水に関する環境問題について,物理的・化学的な手法を用いてその実態を把握し,それを解明することを目的として研究を行うものである。
〔内 容〕 (1)新潟県上越市や六日町に設置した新たに開発した観測装置を用いて経常的な観測を続け,データの蓄積をはかった。また,六日町に設置した観測井の井戸の中に細い鉄管を挿入し,この管頭の抜け上がり量とアラミド繊維による地層の収縮量の変化との整合性を比較検討した。その結果,1日ごとの変位量は高い相関性を示しており,長期的にも計測機器の測定誤差範囲内に常に収まっていた。このようなことなどからアラミド繊維を用いた地層の収縮量測定方法の有効性を実証することができた。(2)非破壊ガンマ線計測による210Pb年代測定法を用いて,ロシアのバイカル湖湖底堆積物の堆積速度を算出した。
〔発 表〕 G−31,36, g−37〜39

9)降水・大気中の天然放射性核種の挙動に関する研究
〔担当者〕 土井妙子
〔期 間〕 平成8〜10年度(1996〜1998年度)
〔目 的〕 地表土壌と大気中に存在する地殻起源天然放射性核種の210Pbと主に成層圏を起源とする宇宙線生成核種の7Beの降水・降下物及び大気中濃度から,これらの核種の挙動を明らかにして,環境汚染物質の輸送・拡散のメカニズムの解明を行う。
〔内 容〕 平成9年度に引き続き中国大陸の気団が日本へ及ぼす影響を知るために,中国大陸の北京でエアロゾル試料中の210Pb濃度のレベルと濃度変動パターンを観測した。濃度レベルは0.7〜3.7mBq/m3で,つくば市の観測値0.48mBq/m3より高く,中国大陸内陸部(烏魯木斉・蘭州・包頭)のレベルに近く,変動パターンも大陸内陸部の変動パターンと類似していたが,中国大陸内陸部と異なり春季の濃度増大が観測された。このため北京はソウルと同様に本邦と中国大陸内陸部の両方の特徴を持っていると考えられる。
また,ソウルにおける210Pb濃度の一時的な上昇が1991年12月と1992年1月に観測された。この濃度の上昇は,同時期のつくば市での観測と類似しており,フィリピンのピナツボ火山の1991年の噴火に起因した成層圏内の210Pbとこの噴火で成層圏に送り込まれたエアロゾルの降下によるものと推定された。

10)浅海域における熱および物質の輸送機構に関する研究
〔担当者〕 竹下俊二・木幡邦男
〔期 間〕 平成8〜10年度(1996〜1998年度)
〔目 的〕 東京湾奥の海底に存在する堆積物は物質の分子および乱流拡散に基づく溶出のほかに,運動量(移流)の乱流拡散に基づく表層への輸送がある。この高濃度の有機汚濁物質を含む低層の貧酸素水塊が熱と風によって表層に上昇するメカニズムを数値シュミレーション,室内実験および現地観測によって検討,明らかにする。
〔内 容〕 風速・風温,水温・塩分成層強さを初期・境界条件として,SOLA法を用いて上昇流を規定する鉛直2次元流れの数値計算を行った。結果は水温より低い風が連吹すると,表層に生成した冷水塊が下降し,鉛直混合を繰り返しながら水温・塩分躍層の位置を低下させ温度・塩分成層を破壊するため,水温以下の離岸風の下では底層の貧酸素水塊は粒子状汚濁物質を同伴しながら上昇することを示し,実験及び現場観測結果を十分に一致した。

11)水環境中における界面活性剤の挙動の解明とその共存汚染化学物質の挙動や毒性に及ぼす影響の研究
〔担当者〕 稲葉一穂・矢木修身*1
(*1地域環境研究グル−プ)
〔期 間〕 平成10〜14年度(1998〜2002年度)
〔目 的〕 合成洗剤による水環境汚染は,排出量が大量であること,分解により環境ホルモン物質が生成すること,さらには水に不溶の物質を可溶化してその挙動を変化させることなど様々な問題を含んでいる。このような諸問題点を検討するために,合成洗剤の主成分である界面活剤の挙動を支配する吸着性や移動性,微生物分解性などを測定するとともに,水中及び底泥中の界面活性剤が共存化学物質の挙動にどのような影響を与えるかを検討する。
〔内 容〕 都市河川の汚染に及ぼす生活系排水の影響を検討するために埼玉県草加市付近の綾瀬川においてアルキルベンゼンスルホン酸(LAS)をプローブとして調査・解析を行った.その結果,今回の調査地域では夏季以外ではLASを生活排水のプローブとして使用でき,河川水中に占める生活排水の水量や生活排水由来の化学物質の挙動の解析にも利用できることが明らかになった。
〔発 表〕 G−10,g−2

12)水環境における微生物の多様性解析手法開発に関する基礎的研究(奨励研究A)
〔担当者〕 冨岡典子
〔期 間〕 平成10年度(1998年度)
〔目 的〕 近年海洋,湖沼,河川等の水環境は水資源としての重要性のほかに,地球生態系の重要な要素として,その生態系の解明に多くの興味が持たれている。しかしながら,原核微生物の形態は多様性に乏しく,環境による変動も大きいことから,その群集の構造解析はこれまで困難であった。近年,PCR法等の分子生物学的手法が,微生物群集を解析する手法としても応用されつつある。そこで本研究では,これら新しい手法を用いた水環境における微生物の多様性解析手法の開発を試みる。
〔内 容〕 採水後氷冷保存し,孔径3μmのフィルターによってろ過した霞ヶ浦湖水20〜30mlから,孔径0.2μmのフィルターを用いて,微生物菌体を回収し,菌体からDNAを抽出した。得られたDNA試料に含まれる真正細菌の16S rRNA遺伝子を,PCRを用いて増幅,クローニング,シークエンシングを行い,試料中に存在した微生物の多様性の解析を試みた。その結果,湖水中の微生物相は海水中の微生物相とは異なり,土壌細菌近縁の微生物が多く含まれ,浅い湖の生態系が流入土壌等の影響を受けていることが示唆された。

13)地盤沈下地域の地盤調査(特別経常研究)
〔担当者〕 陶野郁雄
〔期 間〕 平成5〜12年度(1993〜2000年度)
〔目 的〕 地下水を揚水すると,おおかれすくなかれ地盤は収縮する。ある地域内で,複数の井戸で地下水を揚水すると,地盤沈下を生じたところがある程度の面積に達し,地盤沈下地域が形成される。このような地盤沈下地域の実態を把握するためには地下水を揚水している帯水層(砂礫層)のすぐ下に存在する難透水層(粘性土層)までの地盤・地下水の情報を得る必要がある。しかも,地盤沈下の将来予測や対策をはかるためには,1回限りの調査ではなく,長期間継続して情報を得る必要がある。そこで,地盤沈下地域の地盤・地下水情報を得ることを目的として調査研究を行うものである。
〔内 容〕 ボーリング調査を行って,地盤沈下地域の地盤構成および地下水の実態を把握する。なお,ボーリング調査は隔年に行っている。前年度は行わなかったので,本年度は佐賀県の有明海に隣接した白石町遠ノ江において深度125mまでボーリング調査を行った。その結果,深度3.7mまでがクリークを埋め立てた土,16.2mまでが有明粘土層,19.9mまでが蓮池層下部,21.75mまでが三田川層,27.93mまでが阿蘇−4,50.23mまでが中原層,それ以深が川副層と思われる。

 


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