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経常研究


4.化学環境部


1)塩素系有機化合物の新しい測定法の開発:超音速自由噴流の利用
〔担当者〕 藤井敏博
〔期 間〕 平成2〜10年度(1990〜1998年度)
〔目 的〕 気体試料分子を超音速自由噴流法により1〜20eV程度迄高速化し,これを固体表面に衝突させる系において,この試料分子が電子励起からイオン化へと進む過程の機構解明と,農薬・トリクレン等の塩素系有機化合物のための,このイオン化過程を利用した高感度で確度の高い測定法の開発を行う。
〔内 容〕 試料分子/水素系でseeded molecular beam超音速自由噴流法により1〜20eV程度までの高速分子流を作り,固体表面に衝突させる系において,試料分子として種々のアセチール誘導体を検討した。それらの負イオン化を利用した,GC,GC/MS法が確立できた。
〔発 表〕 D−36, 37,d−38

2)環境汚染物質の測定技術および測定手法に関する研究
〔担当者〕 相馬悠子・横内陽子・久米 博・藤井敏博
〔期 間〕 平成2〜10年度(1990〜1998年度)
〔目 的〕 従来,イオウの乾性沈着量の測定に関しては,イオンクロマト法が用いられている。しかし,この方法には,前処理が複雑で,測定に時間がかかりすぎる欠点がある。そこで,より迅速な測定ができ,乾性沈着状況の高時間分解能情報が得られる測定法を確立することを目的とする。
〔内 容〕 フィルター上に収集されたエアロゾル中のイオウ濃度をPIXE法を用いて測定する。収集時間とイオウ濃度との関係を求め,どの程度まで収集時間を短縮できるかを検討する。また,必要に応じて,蛍光エックス線分析法との比較を行う。
〔発 表〕 D−40,d−24

3)塩素処理で生成する有機塩素化合物の分子量分布に関する研究
〔担当者〕 山本貴士
〔期 間〕 平成9〜11年度(1997〜1999年度)
〔目 的〕 塩素処理に伴って有害な有機塩素化合物が生成することはよく知られているが,同定・定量された物質は,生成した有機塩素化合物のうちの分子量の小さいものである。高分子量の有機塩素化合物について,定性・定量的な情報を得る方法はきわめて少ない。この研究ではこのような高分子量の物質の分析に関し,当面分子量分布に着目して分析法の開発を行う。
〔内 容〕 埋立処分場浸出水等に比較的高濃度で検出されるビスフェノールAについて塩素処理を行い,その挙動を調べた。塩素処理により,芳香環が塩素化されて塩素化ビスフェノールA(塩素数1から4)が生成し,続いてフェノール性水酸基のパラ位が塩素化されることで結合が切断され,2,4,6−トリクロロフェノール等の低分子量の有機塩素化合物が生成することが確認された。

4)タンデム加速器分析法の環境研究への応用に関する研究
〔担当者〕 柴田康行・瀬山春彦・田中 敦・米田 穣・
久米 博・植弘崇嗣*1・森田昌敏*2
(*1国際室,*2地域環境研究グループ)
〔期 間〕 平成7〜11年度(1995〜1999年度)
平成7年度に設置されたタンデム加速器分析施設(NIES−TERRA)の環境研究への応用にあたって必要となる運転技術,試料採取,前処理技術などの習得,確立を図るとともに,適用範囲を広げるためのハード,ソフト両面の改良,新しい分析手法の開発などを行い,今後の研究の発展の基礎作りを行う。
〔内 容〕 測定精度のさらなる向上を目指して加速管ターミナル部分のストリッパーカナルの口径を8mmから11mmに拡大したことに伴い,現代炭素レベルの炭素14試料の測定精度と光学系変動の影響解析を行い,口径拡大前と比較した。磁場や電場など各光学系要素の数値を変えてもビーム強度が下がらない,いわゆるフラットトップ領域が拡大し,ビームの通りの良くなったことが確認できた。また,標準試料についての繰り返し精度も0.3%台まで下がるなど,当初の予想通りの成果が得られた。また,前年度の検討結果を踏まえて微小試料の調製のための新たなグラファイト化システムを試作した。
〔発 表〕 d−47

5)環境中/生態系での元素の存在状態並びに動態に関する基礎研究
〔担当者〕 柴田康行・瀬山春彦・田中 敦・米田 穣・
吉永 淳*1・堀口敏宏*1
(*1地域環境研究グループ)
〔期 間〕 平成8〜12年度(1996〜2000年度)
〔目 的〕 汚染元素・物質の環境循環,生態系循環の解明や,毒性等の評価のためには,それぞれの元素の存在状態/化学形態や局所的な存在/蓄積部位に関する情報が必要である。一方,元素の同位体比は,元素・物質の起源を探り,環境動態を追跡し,さらに生態系における汚染物質の蓄積を解明する上で重要な手がかりを与えてくれる。本経常研究では,そのための基礎研究を実施する。
〔内 容〕 標準試料の候補試料を用いて,これまで報告のあるヒ素の化学形態分析法数種の比較検討を行った。主成分であるアルセノベタインの定量結果については相互に矛盾のない結果が得られたが,一部の条件では複数の異なった化合物に由来するピークの相互分離ができず,詳細な定量に問題のあることがわかった。また,これらの手法の比較検討をもとに,ヒト尿の分析において問題となる共存塩素イオンの妨害を避けるために最適なHPLC条件の探索を行った。
〔発 表〕 D−12,16

6)バイカル湖の湖底泥を用いる長期環境変動の解析に関する国際共同研究
〔担当者〕 河合崇欣・柴田康行・田中 敦・相馬悠子・
高松武次郎*1・くぬぎ正行*2・森田昌敏*3
 (*1水土壌圏環境部 *2地球環境研究グループ *3地域環境研究グループ)
〔期 間〕 平成7〜11年度(1995〜1999年度)
〔目 的〕 環境の変化が生物種の保存,絶滅や進化に与える影響を検討・評価するために,約3000万年と言われるバイカル湖の環境変化及びその地域で生存した生物層の変化を,バイカル湖底質柱状試料の古陸水学的解析によって調べる。
〔内 容〕 (1)バイカル湖底質柱状試料の採取を行い,性質の異なる350m柱状試料採取に成功した。(2)200,600m柱状試料について国際的・国内的に分析チームを組織し,項目ごとに分担して測定を行った。500〜1000万年の気候変動を解析できる測定・分析の結果が蓄積された。本研究所では他に主として無機元素の分布の測定と水位変動,光合成色素の分布,10Be/26Al年代決定法の研究,データベースの準備を分担した。(3)測定結果を総合し解析を行うために,プロジェクトの当面の目標を設定し,科学技術振興調整費総合研究の同内容課題の充実に努めた。

7)発光細菌を利用した簡便な環境変異原の検索手法に関する研究
〔担当者〕 白石寛明・白石不二雄
〔期 間〕 平成9〜11年度(1997〜1999年度)
〔目 的〕 水中に存在する有害物質の評価を総合的に行うためには,機器分析で測定される個々の物質の濃度のみならず,水質全体を表わす総合指標が必要である。化学物質による有害性の評価においては,バイオアッセイ法が,毒性物質を総合的に把握するのに適していると考えられる。本研究は,操作に熟練を要しないバイオアッセイ法の確立を目指して,試験生物として発光バクテリアを選び,実際の環境水の毒性評価に応用できる簡便な試験法の開発を目指す。
〔内 容〕 前年度に確立した96ウェルマイクロプレートを用いる発光細菌による遺伝毒性(変異原性)試験法(MBG)を廃棄物埋立地の浸出水試料に適用を試みた。固相抽出ディスク(C18)で浸出水の抽出・濃縮を行い,MBGにより試験を試みたところ,浸出水の全試料から強い遺伝毒性作用を検出した。MBGを用いることにより,汎用されている変異原性試験のエームステストでは殺菌作用のため遺伝毒性の検出が困難であった浸出水のような発生源試料についても,環境試料と同様に簡便に,かつ感度よく遺伝毒性作用が検出できることが示された。
〔発 表〕 d−17,18

8)底質,土壌中の有機化合物の存在状態及び化学変化に関する研究
〔担当者〕 相馬悠子
〔期 間〕 平成10〜12年度(1998〜2000年度)
〔目 的〕 環境汚染に関する有機化合物の底質,土壌における存在状態,化学変化の反応機構を調べ,環境汚染物質の環境における挙動を明らかにする。
〔内 容〕 湖沼堆積物中に残留する汚染有機化合物の年代変化をみる目的で,本年度はバックグランド地域の流入河川のない湖で底質柱状試料を採取し,有機塩素化合物(DDTおよびその分解物,BHC)の分析を行った。そして大気から長距離輸送により日本各地でどのくらい負荷量があったかを推定した。
〔発 表〕 d−21,25, 26

9)プラスチック製品からのビスフェノールAの溶出に関する研究
〔担当者〕 山本貴士・安原昭夫
〔期 間〕 平成10〜11年度(1998〜1999年度)
〔目 的〕 ビスフェノールAはポリカーボネート樹脂等の原料や安定剤として使用されているが,内分泌撹乱作用が懸念されており,埋立処分場浸出水や環境水から検出されたことから問題となっている。浸出水や環境水中のビスフェノールAの給源や動態については,研究報告が少ないためよくわかっていない。本研究では,環境中のビスフェノールAの給源としてプラスチック製品を想定し,ビスフェノールAの溶出について実験を行う。
〔内 容〕 水中ビスフェノールAの分析法を開発した。溶媒抽出後,GC/MSで定量する方法で,検出下限は0.51μg/lであった。この分析法によって,塩化ビニル製品からのビスフェノールAの溶出量を求めたところ,最大38.1μg/gの溶出が確認された。溶出量の多かったものは,電線被覆やコード類,玩具等の軟質塩化ビニル製品であった。塩化ビニル製のホースからの溶出も確認された。
〔発 表〕 d−41,42

10)外因性内分泌撹乱物質の培養細胞を用いたバイオ・アッセイ系の基礎的研究
〔担当者〕 白石不二雄・佐野友春・彼谷邦光
〔期 間〕 平成10年度(1998年度)
〔目 的〕 環境中に排出される化学物質は生態系への影響のみならず,ヒトへの性ホルモン作用としての影響が危惧されている。これまで,培養細胞を用いた女性ホルモン様物質の検出システムが数種類開発されているが,問題点も多く,環境試料のバイオ・アッセイ系としては改良が必要とされている。本研究では,開発されている培養細胞による検出システムをバイオ・アッセイ系として使用するための基礎的研究を行う。
〔内 容〕 ヒト乳がん細胞株MCF−7細胞を用いて,細胞増殖を指標としたバイオ・アッセイ系の検討を行った。試料を多数かつ迅速に処理できるように,96ウェルマイクロプレートを用い,細胞数を化学発光法で測定できるように改良を行った。しかしながら,β−エストラディオールでも対照の3〜5倍程度の低い増殖率であり,また培養期間が1週間と長いためにばらつきも大きく定量性に問題があることが指摘された。

11)インドネシア森林火災(バイオマスバーニング)によって発生する揮発性有機化合物の全分析(奨励研究A)
〔担当者〕 横内陽子
〔期 間〕 平成10年度(1998年度)
〔目 的〕 森林火災(バイオマスバーニング)によって放出される揮発性有機化合物の中には塩化メチルのように地球環境に重要な役割を果たしているものやアルデヒドのように人体に悪影響を及ぼすものが多く含まれている。本研究の目的は,インドネシアの森林火災により発生するガス中の有機物組成を調べ,その特徴を把握することである。
〔内 容〕 平成10年3月にスマトラ島で採取した森林火災時の大気サンプルをGC/MSにより分析した結果,高濃度のベンゼン,アセトンが検出された。また,反応性の高いオレフィン化合物やプロパナールなどのアルデヒドも数多く含まれており,これらの光化学反応によって生成されるオゾンやエアロゾルも森林火災発生時の大気質に大きな影響を与えている可能性が高い。
〔発 表〕 D−41

12)環境分析の精度管理に関する研究
〔担当者〕 白石寛明・伊藤裕康・山本貴士・中杉修身
〔期 間〕 平成7〜11年度(1995〜1999年度)
〔目 的〕 環境の状況の正確な把握のためには,適切なサンプリング計画と高精度の計測法が必要である。本研究では有効な精度管理を実現するために,検討すべき各種要因を明らかにし,環境分析におけるサンプリング法,計測法の高精度化を実現する。
〔内 容〕 各種分析法における精度管理の現状を整理し,問題点を明らかにするために,外因性内分泌撹乱化学物質調査暫定マニュアル,食品および作物残留分析法など広く利用される分析法のデータベース化に着手した。作成したデータベースの一部を本研究所の化学物質データベースでインターネット上に公開するとともに,前処理法などの分析の個別要素ごとに分類を行うためのデータベース設計を行った。ダイオキシンの分析法の精度管理を含めた標準化を行うために標準分析法を作成し,地方自治体の研究機関(8機関)と共同研究を実施した。
〔発 表〕 D−13

13)化学形態分析のための環境標準試料の作成と評価に関する研究(特別経常研究)
〔担当者〕 伊藤裕康・柴田康行・山本貴士・田辺 潔*1・
安原昭夫*1・吉永 淳*1・堀口敏宏*1・森田昌敏*1
(*1地域環境研究グループ)
〔期 間〕 平成7〜11年度(1995〜1999年度)
環境標準試料NIES CRM No.17「フライアッシュ抽出物」(平成8年度作製)に含まれるダイオキシン類(ジベンゾ−p−ジオキシン類とジベンゾフラン類)の共同分析をし,保証値を検討した。NIES CRM No.18「ヒト尿」(平成8年度作製)は,予備分析として,全セレンと全ヒ素の分析を共同分析機関を行い,トリメチルセレノニウムイオン,ジメチルヒ素,アルセノベタインについて現在共同分析継続中で保証値を検討した。また,NIES CRM No.19「フライアッシュ粉末体試料」(平成9年度作製)に含まれるダイオキシン類の共同分析をし,保証値を検討した。
平成10年度の標準試料は,近年,ダイオキシン類汚染が社会問題となっているため,ニーズに応えることを考え,NIES CRM No.20は,「湖沼底質試料」を作製した。大学,公的機関とダイオキシン類の共同分析をし,保証値を検討している。
平成11年度に作製予定のNIES CRM No.21候補として,土壌,水質,生体試料,廃棄物関係等が上げられ,分析対象物質は,特に要望の多いダイオキシン類,PCB,クロルデン,等有機化合物が考えられている。

14)スペシメンバンキングによる環境の時系列変化の保存並びに復元に関する研究(特別経常研究)
〔担当者〕 柴田康行・田中 敦・米田 穣・森田昌敏*1・
田邊 潔*1・吉永 淳*1・堀口敏宏*1・向井人史*2 
(*1地域環境研究グループ,*2地球環境研究グループ)
〔期 間〕 平成7〜11年度(1995〜1999年度)
〔目 的〕 人間活動によって環境中に放出される物質は膨大な数にのぼり,そのすべてを分析,監視し続けることは不可能である。また副生成物の混入や流通・処理過程での有害汚染物質の発生など,予見できないような汚染事例も増えている。こうした化学物質汚染の監視体制をより効果的なものにし,なるべく早期に適切な対応をとれるようにするための一つの手段として,モニタリングで集めた試料の一部を低温で長期保存し,新たな汚染がみつかった段階で過去にさかのぼった分析を行ってその歴史的経緯の把握や起源の早期発見を可能にするスペシメンバンキング(環境試料保存プログラム)が有効と考えられる。本研究では,特にバックグラウンド地域の監視と試料保存に着目しながら,分析試料の収集と保存,並びに保存性試験などの基礎研究を行う。
〔内 容〕 平成10年度は環境質を代表する試料(日本沿岸各地の二枚貝,世界の外洋のイカ,大陸からの影響をモニターする島根県隠岐の大気粉塵,東京湾の二枚貝や鳥など)の収集・保存と分析作業を継続した。また,前年度に引き続き,平成9年1月に起こったナホトカ号沈没事故に伴う福井県三国から能登半島北東部にかけての重油汚染実態調査と試料収集を継続した。内分泌撹乱物質研究の推進にあわせて,スペシメンバンクに保存されていた鳥類試料(ウミネコ)を用いて過去の汚染の時系列変化を調べた。保存性試験データのあるトリブチルスズとより安定性の高いトリフェニルスズ,及びそれぞれのジアルキル体について分析した結果,いずれも現在より80年代の汚染の方が甚だしく,90年前後を境に減少傾向が認められた。しかしながら,トリブチルスズとその分解産物であるジブチルスズの変動傾向は一致せず,ジブチルスズにトリブチルスズ以外の大きな寄与のあることが示唆された。
〔発 表〕 D−10,d−6

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