8 重点研究支援協力員制度
(1)環境モニタリング手法開発のための基盤技術研究
〔担当者〕
| 地球環境研究グループ |
: |
笹野泰弘・飯田隼人* |
| 地域環境研究グループ |
: |
吉永 淳 |
| 社会環境システム部 |
: |
田村正行・趙 文経* |
| 環 境 健 康 部 |
: |
青木康展・天沼喜美子* |
| 化 学 環 境 部 |
: |
仲間純子*・橋本俊次* |
| 地球環境研究センター |
: |
藤沼康実・橋本正雄* |
| (*重点研究支援協力員) |
〔期 間〕
平成7〜11年度(1995〜1999年度)
〔目 的〕
世界各地に生起する物理・化学的環境変化はオゾン層や熱帯林の破壊,砂漠化や温暖化の進行,大気や水質の汚濁,廃棄物の散乱や被覆地の改変など深刻な生活環境変化をもたらしている。そして,このような変化は人間の高密度居住地域のみならず,極域や高山,乾燥地域や海域にまで及んでいる。これらの環境問題への適切な対処のためには,これらの環境がどのような状態にあり,どのように変化していくのか,またどのような問題が引き起こされているのか把握しなければならない。それにはまず世界各地の環境条件を統一的に,また簡便に測定できることが必須であり,その基本となる計測手法を整備することが要請されている。本研究は,現在用いられている計測手法の改善・高度化を図るものである。
1)環境を広く同時に測定できる人工衛星を利用した計測技術
2)環境因子が人間や生態系に与えるリスクを測定する技術
3)大気や水,土などに含まれる成分を測定する技術,のそれぞれについて,研究を進める。
〔内 容〕
重点研究支援協力員の協力を得て,重点研究テーマ3課題を実施し,次のような成果を得た。
1)環境を広く同時に測定できる人工衛星を利用した計測技術
ADEOS衛星搭載のオゾン層観測センサーであるILAS(改良型大気周縁赤外分光計)のデータ質の判定に関し,検証実験データセットの追加・更新を行い,検証作業に提供した。また,参照用大気モデル・気象モデルの見直しを行い,米国の新しい衛星観測データを入手し,標準データセットを改訂した。
つくばと沖縄県黒島にあるNOAA受信局から得られるAVHRR画像データから,東アジア地域の植生分布及び純一次生産量を計測する手法の開発を行い,受信データの処理解析を行った。
2)環境因子が人間や生態系に与えるリスクを測定する技術
前年度開発した環境中の変異原物質にかかわる遺伝子導入魚の胚を,変異原物質に暴露することにより,本遺伝子導入魚の変異原物質モニター遺伝子上に生じた突然変異を,定量的にDNAの塩基配列レベルでも解析できることを示した。
環境中の有害物質が生物に与える影響に関する研究では,実験的に有害物質に暴露した動物・微生物などの細胞形態の変化,元素の局所分布の変化などを,電子顕微鏡とX線マイクロアナライザーを用いて観察・測定した。
3)大気や水,土などに含まれる成分を測定する技術
環境中における物質の循環・動態を明らかにするために,無機元素(炭素,窒素,硫黄,鉛など)の安定同位対比を精密に測定するための試料処理法および測定法に改良を加えた。大気や水,土のほか,生物などの環境試料にこの方法を適用し,その有効性を検討した。
温室効果ガス等の大気微量成分の観測システムの高度化を目指し,無人観測局での観測体制の整備と操作マニュアルの作成を進めた。また,観測大気の起源など推定する流跡線解析システムの開発を進めるとともに,観測データのデータベース化を進めた。
(2)東アジア地域の持続的発展に関する環境総合診断システムの構築に関する研究
〔担当者〕
| 地球環境研究グループ |
: |
奥田敏統・鈴木万里子* |
| 環境健康部 |
: |
小野雅司・小熊宏之* |
| 水土壌圏環境部 |
: |
大坪国順・ゴン建新*
林 誠二・中嶋恵子* |
| 生物圏環境部 |
: |
清水英幸・杉村康司* |
| (*重点研究支援協力員) |
〔期 間〕
平成9〜13年度(1997〜2001年度)
〔目 的〕
1)地理情報システムやエキスパートシステム等を活用した環境総合診断システムに関する研究
(1)流域スケールでの汚濁物質及び有害化学物質の発生量と環境中の動態に関する現状の把握と,将来予測のための数学モデル作成する。
(2)地理情報システム(GIS)を,環境変化とそれによる健康影響を監視するためのシステムへ応用する。
2)東アジア地域での大気物質輸送,循環に関するモデル結果表示の高度化とネットワーク化
各研究者が地理情報データベースやサブモデルの結果をネットワークを介してオンラインで結果を見ながら意見交換するためのコンピュータネットワーキングシステムを整備する。
3)熱帯林生態系の保全・評価に関する研究
マレーシア半島部パソ保護林に50ヘクタールのデータを用いて,樹木の分布と林内環境,稚樹の動態等についての解析を通じて熱帯林の動的平衡性を明らかにする。
4)東アジアにおける生物多様性インベントリーシステムの構築に関する研究
有効な種名,形態,生理,生態,分布情報を持つ高度で広範な生物多様性インベントリーシステムを構築・管理する。
〔内 容〕
1)地理情報システムやエキスパートシステム等を活用した環境総合診断システムに関する研究
(1)地理情報システムを用い,主に中国を対象とした環境地理情報データベースを作成するとともに,長江流域を対象とした水文・水質モデルの開発と適用のためのデータ解析とモデルパラメータの算出を行った。
(2)インドネシアロンボク島でのマラリア流行を題材に,リモートセンシングデータ,気象データ,現地調査データ等を用いて,GIS解析を行いマラリア媒介蚊の発生要因について検討を行った。さらに中国南部雲南省を対象に関連データの収集を開始した。
2)東アジア地域での大気物質輸送,循環に関するモデル結果表示の高度化とネットワーク化
アジア地域の任意の地点に対して,その地点を通過する気団の由来を定量的に分析するために,流跡線データを取り込んで自動的に統計処理し方角分布に関する統計量を計算するシステムを開発した。
3)熱帯林生態系の保全・評価に関する研究
マレーシア熱帯林に設置された50ヘクタールプロットで得られた樹木の分布データと空中写真のデジタルデータから,地形,土壌,林冠の高さと,種の多様性,稚樹の移入率,樹木の死亡率などの関係について解析を行った。
4)東アジアにおける生物多様性インベントリーシステムの構築に関する研究
奥日光地域における蘚苔類フロラのデータベース化を行い,特にチョウチンゴケ科に関して,有効な種名,形態,生理,生態,分布,タイプ標本,文献,レッドデータブック等のデータを整理した。また,国際会議等に参加し,生物多様性インベトリーシステムの構築に関連する情報を収集した。
〔発 表〕A−5,E−5, a−7〜9