4.国際研究交流促進
(1)セシウム−137高濃縮性Rhdococcus属細菌の育種改良に関する交流育成
〔担当者〕
〔期 間〕
平成10年度(1998年度)
〔目 的〕
セシウムの放射性同位体(セシウム−137)は原子力発電所の事故などに際して多量に放出され,半減期が30年と長いことから,環境中へ漏洩した場合長期にわたって環境を汚染する。そのため簡便な測定法の開発が必要である。これまでに微生物を用いた放射性セシウム測定手法の開発を目指して,セシウムを濃縮する細菌のスクリーニングを行い,セシウムを高濃度に濃縮するRhodococcus属細菌を分離した。現在このRhodococcus属細菌を用いたセシウム−137高濃縮性細菌の育種改良のために,セシウム−137濃縮機構に関与する遺伝子の解析を,ウィットウォーターズ大学のDr.Dabbsと共同で行っている。本派遣はこの共同研究を推進することを目的として行った。
〔内 容〕
種々の変異源処理のセシウム−137濃縮性Rhodococcus属細菌に対する変異効果について共同で検討した結果,NTGで変異が認められることが明らかとなった。しかしながらNTG処理による変異効率は高いものではなかったので,さらなる変異源処理の検討が必要であることで意見が一致した。変異源処理をした菌株の一次選抜法として高濃度のカリウムを生育に必要とする菌株を選択することを提案し,得られた菌株について派遣者がセシウム−137を用いてセシウム濃縮能を確認することで意見が一致した。またこれまでにDr.
Dabbsがセシウム−137濃縮菌株のジーンライブラリー作成のために行った実験結果について共同で考察を行った。これらの結果に基づいて今後のセシウム−137高濃縮性Rhodococcus属細菌の育種方法について意見交換を行った。
(2)加速器質量分析法の新展開に関する国際ワークショップ
〔担当者〕
| 化学環境部 |
: |
柴田康行・田中 敦・
米田 穣・久米 博 |
| 地域環境研究グループ |
: |
森田昌敏 |
〔期 間〕
平成10年度(1998年度)
〔目 的〕
最先端の放射性/安定同位体分析技術である加速器質量分析(AMS)法は,考古学や地球科学のみならず,環境研究や医学生物学,物質科学等の諸分野に応用され,成果をあげつつある。本ワークショップの目的は,本研究所並びに日本のAMS研究の推進のためにヨーロッパの先導的研究者と研究発表,意見交換の場を持ち議論を深めることにあり,将来の個別共同研究の実施等を通じて日本のAMS研究のレベルアップと国際協力の強化に資することが期待される。
〔内 容〕
平成11年1月6〜8日にかけ,つくば市の国立環境研究所並びに千葉県佐倉市の国立歴史民俗博物館で環境研究,古環境研究,考古学研究へのAMSの応用に関するワークショップが行われた。海外からは招へい者並びに別途参加者を含め合計14名の参加があり,口頭発表,ポスター発表を含めて計40件の発表が行われた。結果はプロシーディングスとして刊行準備中である。
(3)BICER/BDP&DIWPA合同バイカルに関する国際シンポジウム
〔担当者〕
| 化学環境部 |
: |
河合崇欣・柴田康行・田中 敦 |
| 水土壌圏環境部 |
: |
高松武次郎 |
| 地球環境研究グループ |
: |
くぬぎ正行 |
〔期 間〕
平成10年度(1998年度)
〔目 的〕
1998年は旧ソ連邦科学アカデミー最高幹部会議がバイカル湖を世界の科学者に開放することを決めてから満10年目の記念すべき年である。日本の研究者達は1991年からバイカル湖の国際共同研究に参加し,環境汚染,陸水物理学,生態学,進化学,古環境変遷の再現等に関して精力的な研究活動を続けてきたが,最近ではバイカルにおける研究活動の主要チームになっている。また,8年間の研究の蓄積により,独自のデータでバイカルを議論できるようになってきており,他分野の研究成果を議論の中に組み入れる必要性も高まりつつある。また,今回のような本格的な国際シンポジウムは,1993年にイルクーツクで開催して以来5年ぶりであり,各国の研究成果を一堂に集めて,情報交換することは今後の研究計画を考える上で時宜を得たものである。このような状況を背景に,バイカル湖を中心とした
(1)古環境及びリフト(裂け目)系湖盆発達史
(2)進化及び生物多様性
(3)物理・化学・陸水学
の3つのテーマを軸に,西太平洋・アジア地域で生物多様性に関する総合的な研究活動を組織しているDIWPAと合同でシンポジウムを行った。
〔内 容〕
本国際シンポジウムは,シンポジウム本体の他に前後の事前事後会議,バンケ(オフィシャルシンポジウムディナー),ポストシンポエクスカーション及びプロシーディングス編集会議を一体のものとして運営された。発表は,キーノート演者,招へい演者(一般講演)及びポスター発表に分けて行うこととし,キーノート演者はプログラム委員会の選考に基づく依頼講演,招へい演者とポスター発表は発表申込者の希望を踏まえて,発表内容及び実績等も勘案して振り分けた。日本人85名,外国人(ロシア他10カ国)64名が参加し,口頭,ポスター合わせて150題の発表が行われた。
各分野の主要論文計33題をまとめて,プロシーディングスを編集中である。