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中国の都市大気汚染と健康影響

環境儀 NO.21

田村憲治
経済発展著しい中国。日本の研究知見を活かした日中共同の大気汚染調査研究によって、環境問題の解決に取り組んでいます。

 2006年3月に開催された中国の全国人民代表大会(全人代)は、2006年から2010年までの第11次5カ年計画において7.5%の経済成長目標を掲げました。中国はこの計画において1兆3,000億元(約18兆5,000億円)の環境保護投資を打ち出し、重点都市の汚染対策などの積極的な環境施策を推進しようとしています。

 国立環境研究所は、中国医科大学の孫貴範教授らを客員研究員に迎えて「中国における都市大気汚染による健康影響と予防対策に関する国際共同研究」を実施しました。今回、調査対象とした中国東北地方の瀋陽市、撫順市、鉄嶺市の3都市では、暖房のための石炭燃焼による微粒子粉じんの汚染や近年急増してきた自動車の排気ガス、工場から排出されるばい煙などによる健康影響が問題視されています。

 日中の共同研究プロジェクトチームは、中国一般家庭における室内外の空気を採取・分析し、大気汚染の状況を明らかにするとともに、近隣小学校の協力を得て小学生への健康影響調査を実施しました。

 本号ではそうした共同研究の成果をもとに、国立環境研究所で分析された中国都市部における大気汚染と健康影響の実態をお伝えします。