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江守プロジェクトリーダーと伊藤サブテーマリーダーが
日本気象学会 堀内賞を受賞

2012年10月4日、北海道大学学術交流会館において、日本気象学会2012年度堀内賞の表彰式が行われ、プロジェクトリーダーの江守正多氏(国立環境研究所)と、テーマ2・サブテーマリーダーの伊藤昭彦氏(国立環境研究所)が受賞いたしました。

江守正多 (国立環境研究所)

受賞対象: 「地球温暖化問題に関する科学者と社会のコミュニケーションについての科学技術論の展開とその実践に関する研究」

受賞コメント

2006年ごろまでを中心に、地球温暖化の将来予測の研究に取り組んできましたが、その後は予測研究そのものよりも、むしろそのような予測情報と社会との関係に強い関心を持つようになりました。予測情報が社会において本当に役立つためには、予測の不確実性について社会に理解してもらうことが必要だというのが一つの問題意識でした。一方で、地球温暖化問題をめぐって根強く存在する「懐疑論」に対応するため、予測が政治的で恣意的なものではないことを社会に理解してもらうことがもう一つの大きな課題でした。このような課題に向き合ううちに、自分の関心が「科学技術社会論」という分野で議論されている問題に近いことがわかり、その分野と交流を持つようになりました。この度、この一連の自己流な試行錯誤の様子を、日本気象学会が気象学と科学技術社会論の境界領域における研究活動と認めて下さり、堀内賞を頂くことになりました。今回の受賞を励みに、今後もこのような問題に精一杯取り組んでいきたいと思います。

伊藤昭彦 (国立環境研究所)

受賞対象: 「陸域生態系モデルを用いた気候と生態系の相互作用に関する研究」

受賞コメント

この賞は気象学の境界領域や隣接分野での研究による貢献に対して与えられるものです。私の場合、専門は生態学ですが、陸域生態系モデルを用いた大気-陸域間の温室効果ガスや微量ガスの交換に関する研究を続けてきたことを評価していただいたのだと思います。全球スケールのCO2、CH4、N2Oフラックスの推定は現状把握だけで無く温暖化の予測と対策を実施する上で不可欠ですので、各種観測グループとの協力の下、モデルの高度化を進めてきました。最近では、生態系サービス評価に向けた詳細マッピングにもモデルの応用分野を広げつつあります。今後も生物圏の基礎的理解を深めることに加え、実社会の環境問題解決に貢献できるようなモデル研究を発展させていきたいと希望しています。