大気圏環境研究領域
研究概要(パンフレットから)
大気圏環境研究領域では、国境を超える地球規模の大気環境問題から都市大気汚染に至るまで、様々なスケールの大気環境問題について、地球環境研究センターやアジア自然共生研究グループ、更には他の研究領域とも連携しながら、5つの研究室・研究グループで基盤的な研究を行っています。
大気中の物理化学現象に関する研究
大気中での汚染物質の生成や消失、大気汚染物質の拡散や輸送、エアロゾル(大気中に浮遊する微粒子)が大気や雲に及ぼす影響、地球規模での気候システムの長期変化、成層圏オゾン層の変化など、大気環境問題に係わる物理・化学現象について、風洞実験やチャンバー実験、観測データ解析、数値モデル実験など、さまざまな手法を用いて研究しています。
http://www.nies.go.jp/escience/ozone/index.html
|
| CCSR/NIES化学気候モデルを用いて行ったオゾン層の長期変動予測実験結果。14南極オゾンホールの推移を示した図。3つの期間、1980 年(オゾンホール出現前)、2000年(現在)、2040年(フロンなどが1980年レベルに戻る頃)に対し、それぞれの年を中心に5年間について平均した10月のオゾンホールの状況を示す。220ドブソン単位以下の領域がオゾンホールに対応。 |
大気環境の観測に関する研究
衛星からの赤外分光観測や地上からのレーザーレーダー観測など、遠隔計測技術を用いた広範囲の大気環境の観測と観測データの解析を行っています。特にライダー観測ネットワークをアジア地域に展開し、黄砂や大気汚染エアロゾルの三次元的な動態と気候影響などの解明に関する研究に取り組んでいます。化学物質の観測から、アジア地域から日本への越境大気汚染としての酸性雨・酸性霧の実態把握とその解析も進めています。
http://www-cfors.nies.go.jp/%7Ecfors/index-j.html
|
| 黄砂発生地域(フフホト)で発生した黄砂粒子(高度1km以下で観測されている)が輸送され、北京では高度2km付近を飛来、更に1,2日遅れて仙台の高度4-5km付近に飛来していることがわかる。 |
温室効果気体の物質循環に関する研究
温室効果気体の長期的な変化や短期的な変動を物質循環の立場から定量的に評価する研究を進めています。例えば、地上モニタリングステーションでは大気中の二酸化炭素濃度と同時に酸素濃度の時間変化を観測しています。二酸化炭素の増加率と酸素濃度の減少率から、海洋と陸上生物圏それぞれの二酸化炭素吸収量を推定することができます。
http://db.cger.nies.go.jp/gem/warm/Ground/hs.html
大気と海洋の化学的相互作用に関する研究
海洋表層に溶存する揮発性有機化合物の生成・消失過程は極めて複雑で、従来は計測の時間応答が不十分であることが課題でした。私たちはオンライン質量分析法を用いて、溶存揮発性有機化合物の高感度・高時間分解能計測を行っています。西部北太平洋亜寒帯における研究航海では、従来見逃されていた生物的多様性を反映していると思われる硫化ジメチル(DMS)の濃度変動を観測しました。今後、DMSの生成・消失過程の解明、さらには大気へのDMS放出量の推定値の改善に繋がることが期待されています。
![]() |
| 図:西部北太平洋亜寒帯において観測された硫化ジメチルとクロロフィル濃度の時間変動 (クロロフィル濃度は東京大学大気海洋研究所 津田敦准教授提供) |
