環境影響・修復研究—環境影響評価・管理
原発事故による被災地域を対象として、放射性物質による汚染の実態の観測、モデルによる将来予測、放射線による生物影響や、住民避難による長期的な生態系の変化の観測を第3期・第4期(2011~2020年)に引き続き行うとともに、研究成果を福島県の被災地の方々により役立てていただくための取り組みとして、(1)山菜・キノコなどの放射能汚染が現在どのような状況にあり、どのような工夫をすれば放射能濃度を低減できるのか、(2)水に棲む生物に含まれる放射性物質が環境中からどのように移行し、環境の除染が魚などの放射性汚染の改善に対してどの程度効果があるのか、(3) 里地里山における鳥獣害や身近な自然の指標となる生物をどのように管理すべきか、また今後避難地域の生態系がどのようになると予測されるか、といった研究テーマについて重点的に進めていきます。
a)現在(第5期中長期計画)の取り組み
- 研究目標
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帰還地域における生活環境リスクの評価とその管理手法の構築・提言を行います。
- 研究概要
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山菜・キノコなどの放射能汚染の状況とその低減手法の構築、淡水生態系での放射性物質の動態と除染による魚類への蓄積を低減する手法、および里地里山における鳥獣害や身近な自然の指標となる生物の管理手法など、被災地の生態系サービスの評価と向上に資する研究を進めています。
b)これまでの取り組み
- 研究概要
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原発事故の被災地域を対象として、放射性物質による汚染の実態を観測して環境への影響を評価するとともに、得られたデータをもとにモデルを使った将来予測の研究を行ってきました。また、放射線による生物への影響の評価や、住民避難による長期的な生物相モニタリングにも取り組んできました。
- 研究成果の活用など
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国や自治体が実施する震災に関連する事業を科学的側面から支援してきました。例えば、放射性物質による汚染実態の観測に関する成果は国による除染ガイドラインの作成に、生物相モニタリングに関する成果は福島県による有害鳥獣管理計画策定などに寄与しました。