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第1セッション「樹木が語る地球環境汚染史−数百年を生きた巨木の証言−」

講演者(佐竹研一)による回答


Q.
 樹木の伐採情報を日本中からどのようにして集めているのでしょうか?

A.
 これまでの樹木の情報は新聞、テレビ、知人からの連絡などによっていて偶然性が高く、どのようにして有効な情報を集めるかは今後の課題となっています。


Q.
 単位をFeで割っているのはなぜでしょうか? また、割っているのと、割っていないのがあるのは何故でしょうか? 
 異樹種間で比較はできるのでしょうか? 分析に必要なサンプル量はどれくらいでしょうか? 絶対値は推定できますか?

A.
 樹木の汚染度は樹皮の単位重量或いは単位面積当たりの汚染物質の量で表すことが出来ますが、多くの場合汚染は沈着している土壌粒子の多少と関係があり、一般的に土壌粒子に多く含まれている鉄で割るとより客観的なデータとなると考えています。異樹種間での比較は樹皮の特性が異なるので好ましくありませんが、蓄積汚染物質の安定同位体比の比較は可能です。分析に必要なサンプルの量は対象とする汚染物質の種類と蓄積量によって異なります。蓄積量は単位重量或いは単位面積当たりの値です。


Q.
 年輪年代の測定の元となる樹木の生育していた絶対年代について、どうやって確定されるのでしょうか? 年輪だけなら細かい年代測定が可能と思われますが、木が生えていた絶対年代(つまり、この年に生えていたということ)は特定できますか? あるいは木が枯れた年ならわかるのでしょうか?

A.
 樹木の倒れた年、枯死した年、伐採した年が明らかであれば問題はありませんが、過去の何時のものか分からない木片、材などについては年輪年代学による検証が必要です。しかし、それも檜などの代表的な樹種以外では難しいようです。


Q.
 入皮も外皮もその時点までの累積値(積分値)を示していることになりませんか?
 もしそうであれば、常に外皮の値が高く、環境が悪くなっている結果が出るのではないのかと思いますが。講演のなかで示した図では、誤解を招くのでは?

A.
 樹皮への汚染物質の蓄積は累積してゆきますが、いつからいつまでの間に蓄積したものであるか明らかであれば一年間の蓄積量を計算することが出来ます。入皮の場合、年輪に挟まれているのでその年数を求めることは容易です。外樹皮の場合も同様ですが、樹種によっては樹皮の剥離も考慮しなければいけませんので、その際には例えば常に沈着をする鉄との比をとるなどの方法が有効と考えています。


Q.
 入皮で火山活動の記録を検証していますか?

A.
 入皮に含まれる火山灰にはかねてから関心を持っていますが、まだその研究の機会を得ていません。


Q.
 入皮をもった樹は成長過程で何か影響があるのでしょうか? 皇居内の樹木などは如何でしょう? またその入皮の割合は?

A.
 入皮が樹木の傷の修復過程で出来た場合、その傷の部分から腐朽菌が進入し、そこから樹木が腐り始めることがしばしばあります。皇居の樹木についてはまだ調査の機会がありません。


Q.
 樹木の種類(広葉、針葉、落葉樹、草原、芝生)による具体的な効果の違いはありますか?

A.
 樹木の種類の違いによる効果は大変に興味深いのですが、まだ対象とした樹種が限られているので、今後研究する必要のある課題と考えています。

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