プログラム

環礁州島の自然−人間居住の相互作用とその変化に関するワークショップ


日 時
2002年11月15日(金)13:00〜17:00
場 所
国立環境研究所中会議室
主 催
国立環境研究所
参加費
無料
問合先
社会環境システム研究領域(山野博哉)
〒305-8506 茨城県つくば市小野川16-2
TEL 0298-50-2477

 太平洋・インド洋を中心に数100ある環礁の上に分布する州島は、標高が最大数mと低平で、利用可能な土地と資源が限られており、環境変動に対するぜい弱性がきわめて高い。とくに、今世紀の海面上昇に対して水没の危機にあることが危惧され、その予測と対策について国際的な取り組みが急務である。現在我々は、環境省地球環境総合研究推進費FS課題「環礁洲島の地形形成-人間居住の相 互作用とその環境変動に対する応答予測に関する予備的研究」において、環境変動に対する環礁洲島の応答を、自然的視点と人文的視点を融合し評価する研究を進めている。
 環礁州島の地形形成の特徴は、その沖に位置するサンゴ礁に生息するサンゴや有孔虫など生物の石灰質遺骸が運搬されて作られていることである。そのため、その形成・維持過程の理解のためには、物理的なプロセスだけでなく生物・化学的プロセスの理解が必須である。さらに考古学・民族学のデータは、居住の安定性や生存の可能性を増すために、環礁の先史社会が植生・地形の多様化とその管理をはかり、リザーブランドを含む島外とのネットワークを構築・維持することによって、ハリケーンや旱魃といった災害に対する柔軟性を確保してきたことを示している。しかし、近代化の過程で外部資本が投下され、人口の集中が進むにしたがって、植生の多様性や居住の可動性が低下してきている。
 こうした点をふまえて本ワークショップで、自然プロセスと人間のプロセスの相互作用を明らかにして、それに基づいてローカル・グローバルな環境変動に対する環礁州島の応答と対応策を策定するためにどのような研究の展開が必要であるかを議論する。

セッション1 変化するサンゴ礁と州島−環境変動に対してサンゴ礁はどのように応答するのか−
  茅根 創(東京大) 地球規模変動とサンゴ礁・州島
山野博哉(国立環境研) 環礁州島の地形とその形成プロセス
セッション2 伝統的土地利用システムとその変容−伝統的土地利用を現代にどのように活かすか−
  近森 正(帝京平成大・慶応大) 環礁の地形・植生変化と人間居住
山口 徹(千葉商科大) 環礁の先史居住−その可動性と柔軟性−
三村信男(茨城大)
海面変動に対するアジア・太平洋地域の影響と対応戦略
総合討論 今後の研究の方向−自然的視点・人文的視点をどう融合し対策に活かすか
 
終了後,同じ会場で懇親会を行います。