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2013年12月2日

一般公開シンポジウム「発達障害研究の最前線」開催報告

写真:会場の様子

 2013年11月27日(水)、東京医科歯科大学M&Dタワー2階 鈴木章夫記念講堂にて、東京医科歯科大学難治疾患研究所・国立環境研究所共催シンポジウム「発達障害研究の最前線」を開催いたしました。このシンポジウムは発症率が近年上昇していることが大きな社会問題となっている発達障害に焦点をあて、その遺伝要因・環境要因について研究を行っている様々な研究プロジェクトが、発達障害の予防・治療に少しでも近づくことができるよう、情報を交換し、連携を強化することを目的に開催されました。

 北嶋繁孝 難治疾患研究所所長の開会挨拶の後、5名の演者による講演が行われました。最初の、山末英典 東京大学准教授による「自閉症スペクトラム障害の脳画像解析から治療開発へ」と題したご講演では、自閉症スペクトラム障害において、MRI画像解析により脳内の特定領域の体積変化が認められること、それら体積変化が愛着形成に関係することが知られるホルモン・オキシトシンの受容体遺伝子多型と相関する可能性、オキシトシンの投与により自閉症症状が軽減する可能性についてお話いただきました。続く、橋本圭司 国立成育医療センター リハビリテーション科医長/発達評価センター長による「発達を支える子どものリハビリテーション —エコチル調査に期待すること」と題したご講演ではリハビリテーションで高次機能の改善を考える時に姿勢や歩行、摂食などの発達をサポートすることが如何に重要であるかをお話いただきました。また発達評価外来でどのような手法で発達障害の検査を行っているのか、エコチル調査においてどの発達段階でどのような検査を行うことが必要なのかについてご議論いただきました。3題目の田中光一 難治疾患研究所 教授による「モデルを用いた発達障害研究 —脳プロにおける発達障害研究」と題した講演では、神経伝達物質として働く興奮性アミノ酸・グルタミン酸と抑制性アミノ酸・GABAの脳内での濃度比が発症原因の一部であるという仮説を、発達障害モデル動物を用いて検証された結果を基にお示しいただき、グルタミン酸受容体もしくは輸送体に働く薬物が発達障害の治療に役立つ可能性についてご議論いただきました。4題目、アレクシッチ ブランコ 名古屋大学 特任准教授による「自閉症と統合失調症における比較遺伝子解析:レアバリアントに着目して」と題したご講演では、ヒトの自閉症発症原因の約20%までを説明できる可能性があるゲノムコピー数変異の解析により、いくつかの原因遺伝子座を検出した結果をお示しいただき、また複数の変異が同時に起こることが発症に結びつく可能性をご議論いただきました。栗山進一 東北大学教授による「東北メディカル・メガバンクにおける発達障害研究」と題した最後のご講演では、東北メディカル・メガバンクの特徴である三世代コホートにおける発達障害の検査方法についてご解説いただきました。さらに、三世代コホートでFamily Controlをとりながら原因遺伝子研究を行うことで鋭敏にde novo遺伝子変異を見つけることが出来る可能性についてご議論いただきました。最後に、新田裕史 国立環境研究所 環境健康研究センター センター長より遺伝要因に加えて環境要因を検討する意義と、各機関の連携を益々深めることでより研究の発展を目指していきたい旨の閉会のご挨拶がありました。

 ご来場の皆様にシンポジウムに関するアンケートをお願いし集計したところ、満足度の点で、全員が「良かった」あるいは「やや良かった」のいずれかにご回答いただきましたので(有効回答数54)、皆様にご満足いただけるシンポジウムになったのではないかと思います。また、記述式でお答えいただいた欄には、「発達障害研究に関するシンポジウムを引き続き開催してほしい」との趣旨のご意見が多数寄せられました。皆様のご期待に添えるよう、研究を一層強力に推進し、さらに情報発信していきたいと考えています。

 最後になりましたが、好天にも恵まれ、150名という多くの皆様にご参加いただき、多数のご質問をいただきましたことを心よりお礼申し上げます。

添付資料

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