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2004年11月10日

オゾン層と紫外線

環境科学解説「オゾン層の破壊」

 オゾン層は、生命活動で生じた酸素に太陽からの紫外線が作用することによってつくられました。オゾン層が太陽からの紫外線を吸収してさえぎるので、生命は海から地上へ進出することができたのです。このように、生命の多様性の揺りかごとなったオゾン層の基礎知識を紹介しましょう。

オゾン層って何でしょうか

 オゾン(O3)は酸素原子3個からできた、非常に酸化力の強い不安定な分子です。光化学スモッグで目がチカチカしたりするのは、オゾンの酸化力によって粘膜が刺激を受けるためです。この強い酸化力はしばしば殺菌に利用されます。

オゾン層はどこにあるのでしょうか

オゾンの分布図
オゾン層の分布図

 地上か~5ら高度約100kmの高層大気を成層圏といい、大気中のオゾンの90%以上がここに集まっています。この領域をオゾン層とよびます。なかでもオゾンの数密度が高いのは高度約15~30kmの範囲です。

 気体は圧力と温度によって占める体積がかわりますが、もし1気圧0℃、つまり地上にオゾン層をもってきたとすると、厚さ3mmの薄い層になります。

オゾン層はどうやってできたのでしょうか

オゾンの生成と分解の化学式
オゾン層の生成と分解

 今から約35億年前、海の中で生命が誕生しました。やがて、光合成により二酸化炭素(CO2)を酸素(O2)にかえるはたらきをもつラン藻類が登場し、地上に酸素を供給しはじめました。大気中の酸素濃度が高まり、成層圏にまで達するようになると、成層圏の強い紫外線によってオゾンがつくられるようになりました。オゾンは次のような過程でつくられます。


 1. 酸素分子(O2)が強い紫外線を受けて、2個の酸素原子(O)となる。
 2. 1個の酸素原子(O)と1個の酸素分子(O2)とが結びついてオゾン(O3)ができる。
 3. オゾンは不安定な物質で、紫外線によって再び酸素分子(O2)と酸素原子(O)に分かれる。

このようなオゾンの生成と分解のバランスによって、オゾン層のオゾン濃度はほぼ決まっています。

オゾン層による紫外線の吸収とは

 オゾン層は紫外線を吸収して、地上の生命を守っています。紫外線は、可視光線より波長の短い光(波長約400~100ナノメートル*)です。光は波長が短いほど、エネルギーが高くなり、生体に影響を及ぼします。

 紫外線は、生体への作用により、UV-A(波長400~315ナノメートル)、UV-B(315~280ナノメートル)、UV-C(波長280~100ナノメートル)の3つの領域に分けられます。UV-Cは生物にとって最も有害ですが、オゾン層と大気中の酸素分子で完全に吸収され、地表には届きません。UV-Bも吸収されますが、一部は地表へ到達し、皮膚ガンや日焼けを生じさせ、しみやそばかすの原因となります。UV-Aの大半は地表に達し、しわやたるみの原因となります。オゾン層破壊で影響を受けるのはUV-Bです。オゾン層が1%減ると、地上のUV-B量は約1.5%増えるといわれています。

 *1ナノメートル(nm)=10億分の1m

紫外線の影響とその予防

紫外線対策一覧
紫外線対策

 紫外線の影響をとくに受けやすいのは、皮膚と眼です。皮膚ガンには有棘細胞ガン、基底細胞ガン、悪性黒色腫があります。有棘細胞ガンと基底細胞ガンは、頭や首といった日光に強くさらされる部位にできやすいガンです。とくに、UV-Bが有棘細胞ガン発生に関連することはよく知られています。皮膚細胞のDNAはUV-Bを吸収し、そのエネルギーによりDNAの一部に傷がつきます。傷ついたDNAは修復されますが、何度も傷つけられると修復の過程でエラーを起こし、これがガン化を引き起こすと考えられています。

 また、眼では、水晶体が濁って物が見えにくくなり、やがて失明にいたる白内障が、UV-Bの増加で増えると予想されています。紫外線量の多い地域と少ない地域に住む人の間で、白内障の有病率や進行度の異なることが、疫学調査で明らかになっています。

 オゾン破壊によって、皮膚ガンや白内障がどのくらい増えるかについての報告がありますが、紫外線の影響が強いと考えられる場合は、活動をできるだけひかえ、状況に応じた対策を講じることが効果的です。

詳細解説

  • 光化学スモッグ
    自動車や工場から排出される窒素酸化物や炭化水素は、太陽の強い紫外線を受けると光化学反応を起こし、オゾンなどの酸化力の強い物質を生じます。これらのガス状の物質と浮遊している微粒子によるもやのような状態が光化学スモッグです。