フロンは安定な物質で対流圏では分解されません。しかし、成層圏にまで達すると、強い紫外線によって分解され、塩素原子(Cl) を放出します。塩素原子は触媒となって、オゾン(O3)と酸素原子(O)が反応して、2個の酸素分子(O2)となる反応サイクルを進めます。上部成層圏には塩素原子も酸素原子も多いので、この反応サイクルがどんどん回り、オゾンが壊されていきます。 しかしながら、塩素原子もやがてはオゾンを破壊しない物質にかわっていきます。成層圏には、メタン(CH4)や二酸化窒素(NO2)などの物質があり、塩素原子はこれらの物質と結合して不活性な物質(貯留物質:reservoir)になります。そのため中緯度地方の上部成層圏では、南極のオゾンホールのような急激な破壊が食い止められています。
北極域でも南極域と同じように極域成層圏雲ができます。しかし、寒さが南極域ほど続かないので、極域成層圏雲も南極域のようには長持ちしません。北半球は南半球に比べて、海や陸や大きな山岳の分布が東西方向に不均一で、対流圏から成層圏に波動状の気流のうねりが伝わり、極渦内外の空気が混じり合ったり、低緯度から極域へと熱を運ぶしくみができたりするためです。 1980年代を通して、北極域では、南極域のオゾンホールほどの大規模なオゾン破壊は観測されませんでした。しかし、90年代に入ると冬の成層圏が異常に低温になるという現象が続き、春季のオゾン全量が急速に低下し、97年には「北極オゾンホール」といえるほどの状況になりました。そして2000年1月初めから3月終わりまでの3カ月の間に、高度18km付近で70%以上のオゾンが破壊されていたことが報告されています。これは、北極域の特定高度オゾン破壊としては過去最高の値です。
正式にはフルオロカーボンといいます。メタンやエタンの水素原子が、フッ素原子(F)や塩素原子(Cl)で置きかわった化合物の総称で、いろいろな種類があります。1930年に米国で開発・販売された冷媒がその始まりです。圧力をかけると簡単に液化し、毒性がなく、不燃性であることから、「夢のガス」とよばれ、冷媒、洗浄剤、発泡剤、噴射剤、消火剤として幅広く用いられてきました。
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1974年、米国カリフォルニア大学のローランドとモリーナ(現マサチューセッツ工科大学)が、上部成層圏(高度約40km)でのフロンによるオゾン破壊の可能性を、初めて指摘しました。
1984年に、日本の忠鉢が、春季における南極域の成層圏オゾン異常減少について報告しました。1985年には、英国のファーマンらが、春季の南極のオゾン量が年々減少していることを報告しました。1986年に、米国のストラルスキーらが、春季の南極では、オゾン量の少ない領域が穴状になっていることを報告しました。これらの発見により、南極オゾンホールの存在が確認されました。
エアロゾルとは、大気中に浮遊している固体あるいは液体の微粒子のことをいいます。硫酸エアロゾルは、火山ガスなどに含まれている二酸化イオウなどが、成層圏で硫酸に化学変化し、さらに水分を取り込んで生じます。