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2009年4月1日

温暖化問題解決のための研究

 温暖化現象や影響の科学的解明は進んでいますが、地球の気候システムはたいへん複雑で、まだまだわからないこと(不確実性)がたくさんあります。しかし、世界の科学者の協力によって、いろいろなことが明らかになってきました。

国際的な取り組み

IPCCの体制
IPCCの体制

 複雑な地球環境問題解決にむけた国際的プロジェクトは、各国の科学者が協力して進められています。4大国際研究プロジェクトは、気象に関するWCRP(世界気候研究計画World Climate Research Program)、生物圏に関するIGBP(地球圏・生物圏国際共同毛入計画International Geosphere- Biosphere Program)、人間社会に関するIHDP(地球環境変化の人間的側面に関する国際研究計画International Human Dimension Program)、生物多様性に関するDIVERSITAS(生物多様性科学国際共同研究計画)です。

 そのほか、地球温暖化問題にはIPCC、生物多様性や自然生態系には千年紀生態系プロジェクト(Millennium Ecosystem Assessment)、オゾン層問題にはオゾンパネル(Ozone Panel)、地球環境問題全般にはGEO (UNEPによる地球環境白書作成プロジェクト)のような組織があります。さらに、炭素循環解明研究ネットワーク(GCP:Global Carbon Project)、全球地球観測システム(GEOSS:Global Earth Observation System of Systems)計画など、地球規模のネットワークが形成されつつあります。アジア地域では日本が主導して、アジア太平洋研究ネットワーク(APN: Asia Pacific Network)、エコアジア(Environment Congress for Asia and the Pacificアジア太平洋環境会議)が活動しています。

 IPCCの役割は特に重要になっています。IPCCは1988年に設立され、1990年には第1次評価報告書を公表しました。科学者が報告書を作成し、各国政府代表からなる総会がそれを審議して承認します。IPCC報告書は、国際的な議論や国内政策の根拠として重要な役割を果たしています。2001年には、第3次評価報告書が公表されました。そして、2004年から第4次評価報告書の作成が始まり、3年の歳月と130を超える国の450名を超える代表執筆者等が協力し(日本からも研究者・専門家約30名が参加)、2007年に公表されました。

国内の取り組み

  国内でも温暖化問題に関する研究の取り組みが行われています。2002~2006年には、シナリオ主導型の地球温暖化研究イニシアティブが実施されました。さらに2006年からはそのイニシアティブ体制を基本とした「気候変動研究領域」の中で、

  1. 温暖化総合モニタリング研究
  2. 気候変動プロセス研究
  3. 温暖化将来予測・温暖化データベース研究
  4. 温暖化影響・リスク評価・適応策研究
  5. 地球規模水循環変動研究
  6. 温暖化抑制政策研究
  7. 温暖化対策技術研究
の7つのプログラムが設定されました。これらのプログラムにより、観測、予測、影響把握、適応策から政策科学と対策技術へつながる一貫したシステム的研究体制が構築され、重要な研究開発課題への取り組みが行われています。

温暖化防止の鍵は科学と政治の協力と私たちの実践

 温暖化は、人類がかつて経験した環境問題のなかで最も解決が難しい問題です。人類の危機ともいえるその重大さを踏まえ、科学と政治が車の両輪となり、各国の政策担当者が取り組み、気候変動枠組条約、京都議定書が採択されました。しかし、米国の不参加などの問題により、京都議定書の発効までに7年を要することになりました。

 この間、研究が進み、科学的知見が蓄積されましたが、依然として不確実な部分は残っています。国際的な研究プロジェクトなどさまざまな活動を通じて、さらに研究を進めることが必要です。得られた知見を政策担当者や市民に伝えることも、科学者の役割としてますます重要になっています。環境に対する意識の高い日本人が温暖化問題を理解すれば、温暖化防止活動を積極的に進める大きな動機になるのは確実でしょう。古都京都の名を冠した京都議定書の第1約束期間(2008~2012年)が始まっています。目標達成に一層の努力が求められます。日本が世界に率先して目標達成できるかどうか、この取り組みが試金石といえるのではないでしょうか。