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 温暖化は、人間が石油や石炭などの化石燃料を大量に消費するなどして、二酸化炭素などの温室効果ガスを大気中に大量に放出したために生じつつある環境問題です。温暖化を止めるには、原因である温室効果ガスの排出量を削減することが重要です。

異常気象が増える?

地球温暖化防止の国際的な取り組み
地球温暖化防止の国際的な取り組み

 ここ数年、世界各地で熱波、豪雨、洪水、ハリケーンなどの異常気象が頻発しています。個々の異常気象と温暖化との関係はまだはっきりわかっていませんが、2007年に公表されたIPCCの第4次評価報告書では、温暖化すると熱波や豪雨が増え、台風・ハリケーンなどが強力になると予測しています。

 2003年にヨーロッパを襲った熱波(第1部1「地球温暖化のきざしは?」“2003年の欧州の熱波”参照)では、フランスで1万5000人が命を落としました。2004年の日本では、熱波、集中豪雨、台風の上陸数が10個という異常気象に見舞われました。台風の上陸数は平均して年に2、3個ですから、記録的な多さです。このため、各地で被害が発生し、交通の麻痺や停電など市民生活にも影響が出ました。2005年にはアメリカで強力なハリケーンが発生し、ニューオリンズ市の大半が浸水するなど、大きな被害をもたらしました。

気候変動枠組条約

 温暖化を防止するための国際的な約束が気候変動枠組条約です。1992年に「地球サミット」(リオデジャネイロ)で署名された条約の究極的な目的は、「気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼすことにならないレベルに大気中の温室効果ガス濃度を安定化すること」(第2条)であり、この安定化レベルは「生態系が自然に適応し、食料生産が脅かされず、かつ経済開発が持続可能に進めることができるような期間内に達成できること」とされました。この条約には世界189ヵ国と地域(2006年6月現在)が参加し、国際的な気候変動対策を進める上で最も包括的かつ基本的な枠組みとなっています。

安定化は排出と吸収をバランスさせること

温室効果ガスの排出量と吸収量
温室効果ガスの排出量と吸収量

 この条約の目的である「温室効果ガスの安定化」とは、地球全体の温室効果ガスの排出量と吸収量のバランスをとることです。大気中の二酸化炭素濃度は産業革命以前には280ppm程度だったのに対して、現在は380ppm程度に増加しています。目指す安定化レベルとはどのくらいでしょうか。また、いつまでに達成すればよいのでしょうか。

安定化濃度に関するIPCCの知見

さまざまな安定化水準に対応する世界のCO2排出量の変化
さまざまな安定化水準に対応する世界のCO2排出量の変化
全球平均気温と飢餓(食料)、水不足、沿岸洪水、マラリアの関係
全球平均気温と飢餓(食料)、水不足、沿岸洪水、マラリアの関係

 IPCCは、条約に示された安定化濃度の問題を早くからとりあげ、次のような見解を示していました。

1) 大気中の温室効果ガスの安定化には数百年かかる。
2) 安定化濃度にいたるCO2排出量の道筋は一つではない。
3) 現在の濃度で安定させるには直ちに温室効果ガス排出量の50~70%の削減が必要。

 目標とする安定化濃度レベルを達成するには、どのような経過でCO2排出量を減らせばよいでしょうか。IPCCは早期に排出量を削減する経路を提示しましたが、一方、しばらくCO2を出し続けても新技術が現れた段階で排出量を急激に削減すれば同じ安定化濃度に達するという分析もあります。

 温暖化にともなって、食料不足、水不足、マラリア、沿岸洪水のリスクはどのように変わるでしょうか。また、どのくらいの人がその影響を受けるでしょうか。左のグラフは気温上昇にともなって影響を受ける人口を示したものです。

 グラフを見て下さい。気温が上昇すると影響が急激に増加することがわかります。影響を大幅に少なくしようとすれば、気温上昇をできる限り小さくしなくてはなりません。温暖化対策としては、その目標をどう設定すべきでしょうか。住民の生命リスクや生態系への影響の被害額評価は困難なので、グラフではとりあえずリスク人口を指標としました。もし被害額見積もりができれば、気温上昇による被害を低減する適応策やCO2削減コストと比較して、費用対効果を考慮した対策をとれることになります。

気温上昇を2℃に抑える必要性

 安定化濃度を決めれば、気候モデルによって気温上昇を計算することができます。欧州連合(EU)は、長期的に気温情報を2℃までに抑えることを提案しています。その根拠は、IPCC報告書や影響研究の成果です。2℃とは、工業化前(1850年頃)からはかった気温上昇です。過去100年間にすでに0.6℃上昇しているので、2100年までの気温上昇を2℃までに抑えるとするなら、これから1.4℃の上昇しか許容されないという厳しい条件です。

 中央環境審議会地球環境部会気候変動に関する国際戦略専門委員会は、温度上昇とその影響について網羅的な調査を行い、生態系では1~2℃まで(脆弱なサンゴ礁では1℃まで)、食料生産や経済発展など社会経済システムへの影響を考慮すると2~3℃まで、途上国での影響を考えると2℃までの上昇に抑えることが必要だとしています。3℃を超すような気温上昇は、海洋大循環の停止など大規模で破滅的な影響をもたらす可能性があると指摘しました。