ユーザー別ナビ |
  • 一般の方
  • 研究関係者の方
  • 環境問題に関心のある方
2009年4月1日

将来の気候を予測するには?

環境科学解説「地球温暖化」

 地球温暖化によって将来どのような影響が生じるのかを評価するためには、将来の気候を予測する必要があります。 そのために、さまざまな方法を用いた予測実験が試みられています。

気候モデルによるシュミレーション

気候モデルの発展
気候モデルの発展

 地球の気候は大気、海洋、陸面などの複雑な相互作用によってつくられています。そこで、その相互作用を再現できるようなシミュレーションモデルをつくり、これを将来の気候を予測するために使います。このモデルを「気候モデル」と呼んでいます。

 気候モデルは、大気を中心とした大気大循環モデルから始まり、より多くの要素を取り入れた複雑なモデルへと発展してきています。その研究は各国の研究所で進められていますが、モデル化の違い、たとえば雲や氷の効果、計算の単位となる格子間隔(空間分解能)の違いなどのために、得られる結果が異なっています。そこで、温暖化の影響を研究するときには、一般的に複数の気候モデルの結果が用いられます。

21世紀の世界はどう発展するのでしょうか

排出シナリオの考え方
排出シナリオの考え方

 人為的な温暖化の進行は将来のCO2の排出量に左右されますが、これは世界がどのように発展していくかによって違ってきます。そこで、IPCCでは人口、経済、エネルギー利用、技術開発などを想定して将来の道筋(シナリオ)をえがき、これをもとにしてCO2の排出量を推定しています。このシナリオをIPCCの「排出シナリオ」と呼んでいます。

 排出シナリオの道筋は、「グローバル化するか、地域ブロック化するか」の方向と、「経済重視か、環境重視か」の方向の4つに大きく分かれます。これらを「A1、A2」「B1、B2」と呼んでいます。

 A1は高成長型社会で、さらに、今後も化石燃料を使い続ける社会 (A1FI: Fossil Intensive、化石燃料集中利用)、非化石燃料や新エネルギー技術(たとえば、太陽エネルギーやバイオマスエネルギー)を利用する社会(A1T: non-fossil energy sources)、化石燃料と新エネルギーをバランスよく使う社会(A1B: Balanced across all sources)の3つに分かれます。

 A2、B1、B2はそれぞれ多元化社会、持続的発展型(循環型)社会、地域共存型社会と呼ばれています。

100年後の気温上昇は1.1〜6.4℃

排出シナリオによる気温の予測
排出シナリオによる気温の予測

 IPCCの排出シナリオに基づき、推定したCO2などの排出量を与えて、世界のさまざまな気候モデルを用いて将来の気温上昇を予測した結果を見てみましょう。循環型社会(B1)が達成できれば、1980~1999年を基準とした気温上昇は1.8℃程度におさえることができますが、石油や石炭を使いつづける化石燃料依存型社会(A1FI)では、4.0℃(最大で6.8℃)まで気温が上昇してしまいます(IPCC第4次評価報告書による)。

 ただし、IPCCの排出シナリオでは、京都議定書の削減約束を達成するといった温暖化対策を仮定していません。温暖化対策が加われば、気温上昇はより低い値になるはずです。

高解像度気候モデルによる気温の予測

高解像度気候モデルによる年平均地表気温上昇の分布
高解像度気候モデルによる年平均地表気温上昇の分布

 国立環境研究所では、東京大学気候システム研究センター、海洋研究開発機構と共同して2100年までの気候変動を予測しています。この見通し計算は世界最大規模のスーパーコンピュータ「地球シミュレータ」で行ったもので、解像度は大気が100km、海洋が20kmと、世界最高のレベルを達成しています。将来の世界をIPCC排出シナリオの化石燃料と新エネルギーをバランスよく使う社会(A1Bシナリオ)と仮定すると、全地球平均気温は4℃上昇することになります。