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2009年4月1日

温暖化がおきるのはなぜ?

環境科学解説「地球温暖化」

 温暖を示す地球上のさまざまの現象を見てきました。それではこうした現象がなにが原因でおきているのでしょう。

地球をとりまく大気は毛布

上空から見た地球の姿
上空から見た地球の姿

 左の写真は私たちの地球の姿です。地球は全体が大気の層にすっぽりと包まれています。言うまでもなく、地上の多くの生物が大気(空気)の存在によってその生命を維持しています。また、大気に含まれる水蒸気、二酸化炭素、メタン、フロンなどのいわゆる「温室効果ガス」の存在が、地球上の気候を生物の生息に適したものにするのに役立っています。

 もし温室効果ガスが全くなかったら、地球の状態はどのようなものだったでしょうか。太陽からの放射エネルギーを受けて地球は常に暖められていますが、その温度を適度に保つのが温室効果ガスの重要な役割です。温室効果ガスの存在しない地球は、毛布をはがされたようなもの。いま、地球全体の平均気温は約14℃に保たれていますが、温室効果ガスが全くなかったとすると平均気温は-19℃に低下すると推定されます。極寒の天体となっていたはずです。もしこんな過酷な環境だったら、地球の現在のような生命/人類の繁栄は到底ありえないでしょう。

 人間が快適に暮らすことができるのは、実はこの温室効果ガスのおかげなのです。

大気中に増える二酸化炭素

人間活動の拡大
人間活動の拡大
大気中の二酸化炭素濃度の変化
大気中の二酸化炭素濃度の変化
地球の炭素収支の推定
地球の炭素収支の推定
温室効果ガスと放射強制力
温室効果ガスと放射強制力

 自然起源の水蒸気を別にすると、温室効果ガスの主役は二酸化炭素(CO2)です。私たちは地下に埋蔵された石炭や石油などの化石燃料を産業活動や生活に利用してきました。化石燃料は、地球上の微生物や植物から生じたものであり、地球が長い時間をかけて地下に貯えた太陽エネルギーと考えることができます。

 化石燃料を燃やすとCO2が発生します。その一部は海洋や森林に吸収されますが、残りは大気中に貯えられます。また、森林の大規模な伐採によって、光合成で樹木に貯えられたCO2が大気に放出されます。とくに20世紀の後半、人類は活動を拡大し、それにともなって大気中のCO2濃度も大幅に増加しました。

 現在、世界の総人口は66億人を超えています(総務省[世界の統計])。1960年の30億人からわずか40年あまりの間に倍増し、21世紀の今も増加し続けています。1971年と2005年のデータを比較すると、一次エネルギー消費量およびCO2排出量も約2倍に、経済発展を示す実質GDPはおよそ3倍に増えています(EDMC/エネルギー・経済統計要覧2008年版)。この間の経済発展をもたらしたのは化石燃料の消費を基盤にした人間の活動です。

 さかのぼって、産業革命このかた大気中のCO2濃度がどう変化したかを調べてみましょう。南極の氷(アイスコア)をとって調査し、各年代の層に含まれるCO2量から当時の値を推定します。その結果、産業革命前の1750年のCO2濃度は280ppm程度で産業革命まではCO2濃度の急激な増加は認められず、その濃度は安定していたと考えられます。ところが、現在のCO2濃度は380ppmと3割以上の増加を示しているのです。

 1990年代の10年間に大気中に排出されたCO2の総量は炭素に換算して年間64億トン。そして森林伐採や焼き畑などの土地利用に由来するCO2排出量が16億トン。このうち26億トンは植物や土壌に吸収され、さらに22億トンが海洋に吸収されるので、残りの32億トンが毎年大気中に貯蔵されたと推定されます。その後の2000~2005年では、化石起源のCO2の排出量は年あたり炭素換算で72億トンに増加し、海洋と陸上生物圏に取り込まれた量を差し引くと、大気中の増加は年間41億トンと考えられています。CO2は簡単には分解しない物質なので、大気中のCO2量は年々増え続けることになるのです。

 地球の毛布の保温力を高めるガスとして、CO2のほかに、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)、フロン類などのハロカーボンなどがあり、対流圏のオゾンも温室効果をもたらします。しかし、なんといってもCO2は量が多く、温室効果ガスの主役の地位を占めているのです。

温暖化は人間の活動が原因

最近50年間の気候変化
最近50年間の気候変化

 このように、産業革命以降、ことに20世紀後半になって、温室効果ガスの主役である大気中のCO2濃度が著しく増加したことがわかってきました。他方、地球の46億年にわたる歴史をかえりみると、大きな気候変動の波があることがこれまでの研究で明らかにされています。この100万年の間には、氷期と呼ばれる寒冷期と間氷期と呼ばれる温暖期とが10万年おきに繰り返されています。現在は、約1万年前に最後の氷期が終わったあとの間氷期にあたり、比較的暖かい時期に該当します。

 現在の温暖化の原因は、こうした大きな気候変動や火山の噴火や太陽活動の変化などの自然要因は関与しないのでしょうか。複雑な気候の動きを完全に解明して、温暖化の原因を特定することは簡単ではありません。実験して調べることができないからです。しかし、ようやく最近になって、「大気大循環モデル」とよぶ気候モデルを使って、原因を推定することが可能になりました。

 まず、火山の噴火や太陽の活動などの自然要因に限って計算した場合、気温の変化はどうなるかをグラフにしてみます。さらに、CO2などの温室効果ガスの増加という人為的な要因だけだったらどのような気温の変化が現れるかをグラフにします。どちらも、実際の観測データとは一致しませんでした。ところが、双方を考慮して計算すると、過去の実際の気温の変化を高い精度で再現することができたのです。

 このほかのさまざまの研究成果も考慮して、20世紀後半に観測された地球温暖化現象は人間の活動よってもたらされた可能性が非常に高い(90%以上)、と研究者たちは結論づけました(IPCC第4次評価報告書[2007年]より)。