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2009年4月1日

地球温暖化のきざしは?

環境科学解説「地球温暖化」

 1988年に大干ばつがアメリカを襲い、トウモロコシの生産量が平年の30%にまで落ち込みました。熱波に干上がった大地が世界中に報道され、これを期に人々は二酸化炭素などのガスによって引きおこされる地球温暖化に深い関心を抱くようになりました。

気温は上がっているのでしょうか

世界の気温変化
世界の気温変化
日本の気温変化
日本の気温変化

 1850年から約150年間の「世界の気温変化」を示した左図を、クリックしてみましょう。この図は、1961年から1990年の30年間の平均値(平年値という)からの差をとっているので、各時代の低温化あるいは高温化の傾向がはっきり示されています。1980年代半ば以降、高温が続いているのがよくわかるでしょう。

 この100年間に地球の平均気温は0.74℃上昇し(IPCC第4次評価報告書[2007年]より)、日本の平均気温は約1.1℃上昇したことが明らかになっています。さらに、東京や大阪などの大都市では、ヒートアイランド現象も加わり、2~3℃の上昇が観測されています。

ほかにどんな兆候があるのでしょうか

北極海の氷の変化
北極海の氷の変化
日本沿岸の海面上昇
日本沿岸の海面上昇

 気温上昇のほかにも、温暖化が進めば当然おこると考えられていた現象がいろいろ現れ始めています。

 成層圏の温度の低下(成層圏下部で1979年以降、10年当たり0.3~0.6℃低下)、氷河の融解、北極海の海氷の厚さが減少し、氷覆面積が減少、南極の棚氷の崩壊、この100年間に地球の平均海面水位が17cm上昇などの現象が観測されています。

 降水については、地域ごとのばらつきが大きく、傾向をつかむのは困難です。それでも1900年以降、北半球の中・高緯度で降水量が5~10%増加し、亜熱帯では3%減少、熱帯では2~3%増加したことがわかっています。

異常気象と温暖化は関係があるのでしょうか

極端な気象現象の最近の傾向、予測等
極端な気象現象の最近の傾向、予測等

 温暖化によって、長期にわたる気候の変化だけでなく、短期的な気候変化、すなわち「異常気象」も生じると考えられています。しかし、温度計などの機器で気温を観測したデータは、わずか140年分しかありません。また、異常気象の観測データはそれよりも短く、現段階では、温暖化と異常気象との関連を観測データからはっきり指摘することはできません。

 たとえば、2002年夏に発生した欧州の洪水は、数百年に1度という歴史的な規模で、温暖化との関連も取りざたされました。しかし、世界気象機関(WMO)は、「温暖化と関連があるかどうかは、現段階でははっきり答えられない」としました。

 日本では、2004年に、熱波の襲来、集中豪雨の発生、10個の台風上陸など異常気象があいつぎました。左図をクリックすると、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)がまとめた「極端な気象現象の最近の傾向、予測等」の表が見られます。温暖化すると、熱波や大雨の頻度が増え、熱帯低気圧(台風やハリケーン)の活動が強大になる、と予測しています。

気候モデルが異常気象を解明する

2003年の欧州の熱波
2003年の欧州の熱波

 観測データから温暖化と異常気象の関連を探るのは難しいとされる一方、気候モデルを使ってこれを探る研究が進んでいます。

 気候モデルの研究からは、温暖化が進むとエルニーニョの強度が増すと予想されています。また、台風についても、観測では発生頻度や強さの大きな変化は認められていませんが、気候モデルの研究では、温暖化が進むと台風の数は減るが、最大風速が増すなどの変化が明らかになってきました。

 さらに最近の研究では、温暖化すると、2003年の欧州の熱波のような状況が発生するリスクが高まることもわかってきました。

詳細解説

  • IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change 気候変動に関する政府間パネル)
    1988年に世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)により設立された組織で、世界各国の科学者・専門家・政府関係者が参加し、地球温暖化に関する科学的・技術的・社会経済的な評価を行なっている。これまで4回にわたり、地球温暖化の現象予測・影響・対策等に関する評価報告書を作成している。2007年にはその功績に対してノーベル平和賞が授与された。