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| 稲葉一穂のページ |
| 氏 名 |
稲葉一穂(いなば かずほ) |
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| 所 属 |
水環境管理研究室 | ||
| 職 名 |
室長 | ||
| 電子メールアドレス |
inabakz | ||
| 学 位 |
理学博士 | ||
| プロフィール |
| 1985年3月 東京理科大学大学院理学研究科博士課程化学専攻 修了(理学博士) 1985年4月 国立公害(環境)研究所研究員 1990月4月 主任研究員 1992月3月〜1993年3月 米国アリゾナ大学化学科客員研究員 1999年3月 国際協力事業団派遣(短期)専門家(インドネシア共和国) 2002年4月 上席研究員 2003年4月 室長 2011年4月 水環境管理研究室 室長 |
| 委員等 |
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| 研究内容の説明 |
水の中に溶存する物質の溶け易さ・溶け難さを利用して、有機溶媒や界面活性剤ミセルなどの有機媒体へと抽出・回収する効率を検討することが得意分野ですが、最近では、地下へと漏出した水に溶け難い有機溶媒を溶け易くして抽出・回収する方法の検討も行っています。キーワードは同じですが、「てにをは」が違うだけでまったく別の世界の課題です。![]() 1. 界面活性剤ミセルを利用した重金属や化学物質の分離・濃縮・回収の研究 界面活性剤(洗剤)は一般に長鎖構造の分子で、一端に炭化水素鎖のような水に馴染みにくいグループ(疎水性部)を、他端にスルホン酸基やポリエーテル鎖のような水に馴染みやすいグループ(親水性部)を持っています。そのため、水に溶けた状態でのバランスが悪く、それを解消するために水の中で一定濃度以上になると疎水性部を内側に、親水性部を表面に出した形のミセルと呼ばれる分子集合体を生成します。 ミセルは界面活性剤の種類により構成分子数やサイズ、形状が定まっている構造体で、熱力学的に非常に安定で簡単には開裂することはありません。また、内部に疎水性の空間を持っているため、水に溶けにくい物質(例えば有機系の化学物質など)を溶解する性質(ミセル可溶化といいます)があります。この性質を利用すると、水に溶けにくい物質を分離・濃縮・回収することが可能になります。 これまで、水に溶けにくい物質を抽出・回収するには、ベンゼンやクロロホルムといった有機溶媒を利用して、水から有機溶媒へと相移動する操作(溶媒抽出または液−液抽出といいます)が広く使われてきました。しかし、多くの有機溶媒は、発ガン性や引火・爆発性といった作業者の健康や安全に影響を及ぼす可能性のある性質を持っています。このような危険な溶媒を大量に使用することは環境の安全性から見て問題なため、ミセルのような健康や安全の観点から問題の少ない「環境にやさしい(environmentally benign)」媒体を利用することが推奨されてきています。私たちもこのような「環境にやさしい化学(green chemistry)」の視点から、ミセルを利用した抽出の基礎と応用の研究をしています。 基礎的な研究としては、どの様な構造の界面活性剤が作るミセルに対して、どのような物質が抽出されやすいのか、それを支配する因子はどのようなものかを明らかにするために、ミセル水溶液中での (i)水相とミセル相との間の物質の分配平衡定数、(ii)水相からミセル相への物質の輸送速度定数、の両面からの検討を行っています。(日本原子力研究開発機構との共同研究) 一方、このようなミセル抽出系の最も大きなスケールでの応用として、土壌や地下水に漏出したトリクロロエチレンのような有機溶剤や有害化学物質の迅速・安全な回収除去があります。これは、界面活性剤の高濃度水溶液を地表から散水したり、井戸から注入したりすることで、土壌や地下水に含まれる汚染物質を移動しやすくさせて回収しようという方法です。既にアメリカやカナダでは実用化されており、ガソリンスタンドや化学工場らの漏出対策に使用されています。日本でも、建設会社の研究所を中心に既に実用化に向けた検討がなされていますが、その効率と安全性の評価については明らかとは言えません。そこで私たちのグループでは、(i)どのような界面活性剤を注入すると、どのような汚染物質が効率的に回収できるのか、(ii)どのような界面活性剤を使用すると周辺の環境に影響が現れるのか、の2点からこの方法の評価を試みています。(科学研究費補助金による研究) 2. 水環境中における化学物質の挙動解析手法の開発の研究 私たちは日常生活において様々な化学物質を使用しています。家庭では合成洗剤や殺菌剤など、農業の場では農薬や殺虫剤など、その種類と性質は多岐にわたります。これらの化学物質は使用された後に、多くの場合には排水として水環境中へと排出されます。化学物質の中には安全なもの、素早く分解されるもの、絶対量が少ないものなど、汚染につながらないものもありますが、中には、毒性や危険性が高いもの、分解されにくく水環境中や魚類などの生態系に蓄積されていくものなどがあります。 私たちのグループでは毒性や蓄積性、絶対濃度の観点から汚染物質として問題となる化学物質について、(i)水中および底泥中の濃度測定のための前処理および分析法の作成、(ii)化学物質の底泥への吸着性や分解性の評価、(iii)異なる性質の幾つかの化学物質を指標とした発生源解析や汚染進行度解析の手法の開発、等の研究を行っています。 |
| 外部資金獲得状況 |
科学研究費
科学技術振興調整費
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| 主な研究論文・著書 |
査読付専門誌(2000年以降)
報告書,その他(2000年以降)
業績リスト(全体)はこちら(PDFファイル) 個人ホームページ はこちら(外部サーバ) |
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〒305-8506 茨城県つくば市小野川16-2 |
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