固体イオン源


    イオン源は、試料中の注目している元素を負イオンに変えます。NIES-TERRAには、セシウムの正イオンビームを使って、試料から負イオンをつくりだす、スパッタイオン源と呼ばれるタイプの負イオン源が2種類設置されています。ひとつは気体からビームをつくる気体イオン源 MGF-SNICS、もうひとつは固体試料をイオン化するイオン源で、MC-SNICSという名前です。MC-SNICSには一度に40個の試料を装填することができ、ここで作られた負イオンビームは逐次入射系とよばれるイオン光学系を通過して加速器へと導入されます。グラファイト態炭素などの固体試料は、アルミニウムあるいは銅でできた試料ホルダーにプレス機を使って充填します。

    放射性炭素を測定する場合、直径1mmの穴に炭素1mgと鉄1mgの混合物を詰め込むことで、数時間にわたって数十mA以上の強いビームを安定して発生することが可能です。AMSの場合、最終的にはごく微量しか含まれていない同位体と主要な同位体との比(炭素では14C/12C比)が測定値となります。このMC-SNICSを用いた実験では、測定の繰り返しに伴う誤差と試料間での測定誤差を含めて計算すると、通常、標準誤差0.3%以下の高精度測定が実現しています。0.3%の誤差を放射性炭素年代に換算すると約24年になります。

    現在、1mgを下回る極微量の固体試料を用いた高精度を目指して研究を行っており、0.01mg程度の試料でも測定が可能になっています。

    MC-SNICSの外観 
 
     MC-SNICSにセットされたサンプル

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