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9月

<国際関連情報提供・解説>

角 真耶(センター長室)

今月は、IPBESの外来種アセスメントに関する第一回執筆者会合の概要と、生物多様性条約のポスト2020枠組に関する第1回公開作業部会(OEWG)の概要をお伝えします。前者に関しては、会合に参加した池上真木彦研究員から情報提供(会議全体の様子・会議や作業の進め方、池上研究員の執筆担当箇所とその狙いや社会的な意義など)があります。後者に関しては、ポスト2020枠組の形や範囲についてどのような内容が話し合われたのか、ABSに関するワークショップの様子などを、石田孝英高度技能専門員と角からお伝えします。亀山哲主任研究員も会合に参加していますが、ポスト2020枠組に関するテーマ別ワークショップ(陸域景観・海洋景観に関するもの)参加中のため、10月のセミナーでの発表を予定しています。

タンザニアにおける牛ブルセラ病リスク因子と制御法の検討

浅倉 真吾(生態リスク評価・対策研究室)

ブルセラ病は途上国を中心に広く蔓延している人獣共通感染症であり、家畜では流産、ヒトではインフルエンザ様症状を引き起こすことから、経済損失と公衆衛生上重要な疾病である。本疾病は世界保健機関(WHO)から顧みられない疾病(Neglected disease)に指定されており、実際の発生数及び被害は甚大であるが、多くの途上国では政府による疾病制御は予算及び資源の不足により行われていない。発表者はタンザニアに計1年3ヶ月滞在してフィールド疫学調査を行い、牛ブルセラ病の有病率とリスク因子の解析及び住民主体の持続可能な制御法の検討を実施した。その一部を紹介する。

アクセス困難地における鳥類を対象とした市民科学の推進に関する研究

小川 結衣(生物多様性評価・予測研究室)

市民科学(Citizen Science;市民の科学研究への参加)のプロセスの一つでデータ収集を担う市民参加型調査は、さまざまな環境で行う必要があるとされている。しかし、市民参加型調査の実施地は徒歩以外のアクセス手段がある場所に限定されてきた。徒歩以外のアクセス手段がない、アクセス困難地での市民参加型調査を推進させるために、発表者は特に高山帯に着目し研究を行ってきた。
本発表では、ライチョウを対象とした登山ツアーのなかに組み込まれた市民参加型調査に関する研究として、①調査地の地形的特徴、②調査の実施時期・時間帯の検討、③調査に参加意思を有する登山者の特徴、を中心に紹介する。また、現在行っている、福島で録音されたデータを用いた鳥類音声種判別学習プログラムの開発についても一部紹介する。


8月のセミナーはお休みです



7月

<国際関連情報提供・解説>

角 真耶(センター長室)

今月の国際情報では、6月26日~28日に第11回目の会議が開催された「アジア太平洋地域生物多様性観測ネットワーク(APBON)」について取り上げ、どのようなネットワークなのか、どのような活動をしているのか、今後の活動はどうなるのかについて説明を行います。

日本における15の水質項目の長期時空間的変化 -1982~2016年の全国範囲のビッグデータを用いた探索的分析-

YE Feng(生態系機能評価研究室)

発表者はこれまで公共用水域の水質の変化を研究してきた。水質の複雑な変化、地域差のために、時空間的変化について知見は欠けている。さらに、複数の水質のモニタリング及び化学分析は時間・経済的なコストが研究の規模が制限している。水質関するマクロスケール的な知見が少なかった。そこで、行った表題の研究を本発表で紹介する。

ヒアリ検出キットの開発

中嶋 信美(環境ゲノム科学研究推進室)

平成29年6月に特定外来生物ヒアリが尼崎市内で輸入コンテナとともに侵入していることが明らかとなって以降、東京・横浜・名古屋・大阪・博多などの国際港湾を中心に、ヒアリの上陸が次々と報告されている。 ヒアリの分布拡大を防ぐためには、いち早くヒアリの存在を検出して防除する必要がある。しかし、ヒアリは体長が2.5ミリ〜6ミリ程度しかない小さなアリで、目視だけで日本のアリと区別することは難しく、形態の顕微鏡観察に基づき同定する以外にヒアリの存在を確認する方法がなかった。われわれは、より迅速にヒアリを発見するために、LAMP法(Loop-mediated isothermal AMPlification)を活用したヒアリ検出技術を新たに開発した。セミナーではLAMP法の原理と、検出法開発までの流れを説明する。