本プログラムでは、流域圏(湖沼・河川、沿岸域等)の生態系を対象として、水や物質の循環に着目し、生態系機能を評価する手法を開発するとともに、長期・戦略的なモニタリングを実施し、生態系機能とさまざまな環境要素との関係を評価します。
さらに、これらの評価を基に流域圏の健全性評価のための技術や手法を開発して、生態系機能の保全や自然再生のあり方について研究を行います。
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メコン川流域の位置図。黄色部分が流域の範囲を示します。
日本列島とメコン川流域またその周辺地域はいずれもアジアの代表的な生物多様性ホットスポット(*1)として知られています。これらの地域の湿地生態系を対象として迅速・簡便・広域的に利用できる戦略的環境アセスメント(*2)技術を開発し、それらの技術を用いた河川流域の総合的環境管理に資する研究を行います。
まず重要な湿地生態系を対象に、生物多様性・生態系機能に関する既存情報についてデータベース化を行います。そして上流から中流域にかけての湿地生態系に影響を及ぼすダム開発に着目し、ダム貯水池での底泥における栄養塩等の物質循環機能の定量化、有害藻類発生の機構解明とその予測、有用淡水魚類の回遊生態と食物網構造を解明するための技術開発を行います。また下流域から沿岸域にかけての湿地生態系では、新たな自然再生適地を合理的に抽出するための技術を開発します。
これらの技術を用いて、ダムが及ぼす湿地生態系への潜在的な影響を評価し、その影響を優先的に緩和すべき場所の選定や具体的な手法についての提言を行います。同時に、ダム貯水池での淡水魚の養殖事業の効果や現在行われている沿岸域での自然再生事業の効果を科学的に検証し、これら事業の改善、効率化を図ります。東アジアの湿地生態系における生物多様性と生態系機能のこれ以上の低下に歯止めをかけ、健全な湿地生態系から得られる生態系サービスを持続的に管理、利用することに対して貢献します。
(*1) 生物多様性ホットスポット: 多様な生物が生息しているのにも関わらず破壊の危機に瀕しており、世界的に重要と考えられている地域
(*2) 戦略的環境アセスメント: ダム建設など開発行為について、事業計画が固まる前の行政の意思形成過程の段階からその事業が環境に及ぼす影響を調査・予測・評価し、環境に配慮した手続きを行うこと。

メコン川で投網漁をするラオスの子供(撮影:大東正巳氏)
関連リンク: 2011年1月にタイにて開催したメコン川の持続的な管理に関する国際ワークショップ「Advances in Science for the Sustainable Management of the Mekong River」のページ こちらから

