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種分布モデルを用いた温暖化による森林病害虫リスク解析


論文情報
タイトル
Estimate global risks of a forest disease under current and future climates using species distribution model and simple thermal model - Pine Wilt disease as a model case. (種分布モデルを用いた温暖化による森林病害虫リスク解析)
著者
Ikegami, M., Jenkins, T.A.R.
掲載雑誌
Forest Ecology and Management, 409(1), 343-352. DOI: 10.1016/j.foreco.2017.11.005        
受理・掲載日
2017/11/3 受理、2017/11/22 オンライン公開 オンライン公開への外部リンク、2018/2/1 掲載
概要

本研究は、東アジア・欧州でマツ属樹種の大量枯死を引き起こしているマツノザイセンチュウ病拡大リスクを地球全体を対象に解析したものです。世界各地におけるマツノザイセンチュウ病発生地点の気候を解析する事により、マツノザイセンチュウ病の発症に関連する諸気候条件を特定し、種分布モデルを利用して、現在そして温暖化が進行した場合におけるマツノザイセンチュウ発症リスク地域を明らかにしました。

解析の結果、マツノザイセンチュウ病に脆弱な欧州の主要材木種であるヨーロッパアカマツ(学名:Pinus sylvestris)や中南米の高地に産する種の多くは、温暖化が進行すると本病により高いリスクにさらされる事が判明しました。マツ属は林業上重要な種を多数含み、また自然林においても主要な構成種であるため、温暖化によるリスクも含めた上でマツノザイセンチュウ病の拡大阻止や防除が必要な事をこの研究は示しています。

現在と2070年のマツノザイセンチュウ病のリスク地域

図 現在(青)そして温暖化が進行した2070年の気候(赤)におけるマツノザイセンチュウ病のリスク地域