北緯34度に位置する長崎県対馬と壱岐において、世界で最高緯度にあるサンゴ礁を確認した。対馬・壱岐海域は冬期の水温が13度であり、サンゴ礁の形成に必要とされている18度を大きく下回っている。また、梅雨や台風の時期には陸域からの土砂の流入によって濁度が大きくなる。コアを掘削して年代測定と化石サンゴ種の同定を行った結果、こうした極限の条件にも関わらず、サンゴ礁が4300年前からキクメイシ科のサンゴによって形成されたことが明らかとなった。
長崎県壱岐のサンゴ礁(撮影:杉原 薫)
サンゴ礁は低温や濁度のストレスに強いキクメイシ科のサンゴでできており、
熱帯や亜熱帯で見られる枝状やテーブル状のサンゴでできたサンゴ礁とは全く異なった海中景観をなしている。