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背景

人為的な攪乱の維持による2次的な自然の保全、人為的な攪乱の規制による原生的な自然の保全・再生という異なるアプローチを効果的に組み合わせることは、人口減少時代における生物多様性保全の国土プランにおいて必要不可欠な観点です。その実装のためには、無居住化・管理放棄が生物多様性に与える影響の正負が地域によって異なることに着目し、その規定要因の解明に基づく人口減少が生物多様性に与える影響の広域評価が必要です。


目的と達成目標

そこで、全国各地の無居住化集落において無居住化後の土地被覆や植生高の変化を把握し、農地等の森林遷移阻害の発生分布とそれが生じる要因を明らかにします。また、各地の無居住化集落と有人集落における生物相の比較から、無居住化が種多様性にとってプラスとなる地域、マイナスとなる地域を特定し、地図化と要因分析を行います。それらの結果から、人口シナリオ・気候変動シナリオに対応した生物多様性および景観構造の将来シナリオを構築します。

日本全国の中山間地域を対象として、

  • 各地の無居住化集落において航空写真に基づくデジタル解析により離村後の植生高の時間変化を明らかにします。
  • 無居住化集落と居住集落において生物相(チョウ・維管束植物・鳥類)の比較を日本各地で行い、離村後年数が種多様度に与える効果の空間的不均一性と、その気候条件等との関係を明らかにします。
  • 得られた推定結果をもとに、人口減少シナリオ・気候変動シナリオに対応した中山間地における生物多様性・景観シナリオを構築します。


左写真:無居住化集落/右写真:調査風景
  
研究概要

上記の3つの達成目標に対応した3つのサブテーマを設けます。

  • サブテーマ1 『無居住化地域における森林遷移阻害発生要因の解明』 (担当センター:生物・生態系環境研究センター・環境計測研究センター)
  • サブテーマ2 『無居住化が種多様性に与える影響の解明と地図化』 (担当センター:生物・生態系環境研究センター)
  • サブテーマ3 『人口減少時代の生物多様性・景観広域シナリオの構築』 (担当センター:生物・生態系環境研究センター)



研究計画

H28年度

今年度は、調査対象集落において時系列の航空写真や地形図を収集し、植生高の変化を定量化します。また、無居住化集落においてチョウ類、維管束植物、鳥類の出現頻度の調査を実施します。

サブテーマ1:調査対象集落における時系列での航空写真・地形図の収集・整理と土地被覆図作成・植生高変化の評価
サブテーマ2:対象集落のチョウ類・維管束植物・鳥類調査

H29年度

サブテーマ1:3Dデジタル解析による植生高変化の計算と統計的分析
サブテーマ2:対象集落の現地調査・統計的分析
サブテーマ3:人口シナリオ・気候変動シナリオ・生物分布データ整備・シナリオ構築の試行

H30年度

サブテーマ1:植生変化の統計モデルの修正
サブテーマ2:種多様性と無居住化の統計モデルの修正
サブテーマ3:生物多様性と景観構造の変化のシナリオ構築・研究成果のシンポジウム開催・関連プロジェクトとの統合検討


共同研究機関・担当者

共同研究機関

東京大学農学生命科学研究科生物多様性科学研究室の宮下直氏との共同研究です。

担当者

深澤 圭太(国立環境研究所 生物・生態系環境研究センター)
吉岡 明良(国立環境研究所 生物・生態系環境研究センター)
竹中 明夫(国立環境研究所 生物・生態系環境研究センター)
小熊 宏之(国立環境研究所 環境計測研究センター
久保 雄広(国立環境研究所 生物・生態系環境研究センター)


関連リンク

自然共生研究プログラム「プロジェクト1 人間活動と生物多様性・生態系の相互作用に基づく保全戦略に関する研究」

Last updated Jan. 16, 2017