生物多様性研究プログラム | 生物・生態系環境研究センター



本プログラムは、国立環境研究所の5つの重点研究プログラムのひとつで、生物・生態系環境研究センターが中心となって進めています。生物多様性の現状を知り、将来を予測し、それらにもとづいて効果的に守る方策作りに科学の面から貢献することを目的とし、3つの研究プロジェクトが柱となっています。


(プロジェクト1:  生物多様性の景観的および遺伝的側面とその観測手法に関する研究)

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観測の方法により、どのぐらい以前からのデータがあるか、どんな頻度で測定できるか、どれだけ細かいところまで観察できるかなどが異なりますが、それらのデータを時間と空間の二つの軸で整理・統合し、自然の状況の把握に役立てます。

このプロジェクトは、今、生き物たちの状況がどうなっているのかを見極める方法に関するもので、2つのテーマからなっています。
ひとつは、広範囲の自然の調査方法に関するものです。これまでさまざまな情報が集められてきましたが、それらを整理・統合し、生き物の分布を考える基礎データとして整備します。地図、人工衛星から撮影した画像、航空機から撮影した空中写真、リアルタイムで情報が送られてくるインターネットカメラ画像などをもとに、生き物の生息にかかわるような条件の分布図を描き、歩き回っては調べきれない広い範囲の状況を効果的に把握することを目指します。さらに、過去のデータを利用して、昔からの変化の様子を明らかにします。観測の新しい方法の開発も行います。
もうひとつは、遺伝子に注目するものです。家系図や名札を持たない生き物の由来や身元の手がかりである遺伝子を調べて、生物多様性の状況の評価や将来の予測に役立てることを目指します。また、生物がどのように動き回り、分布を広げているのかを遺伝子を目印しにて調べ、保全地域のデザインなどの基礎とします。さらに、目で見て種類を調べるのがむずかしい生き物を対象に、一挙に遺伝子を調べて種のリストを作る研究を進めます。


(プロジェクト2: 生物多様性の広域評価およびシナリオ分析による将来予測に関する研究)

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様々な種類の生き物ごとに、その分布の有無を環境条件から推定するモデルを作ります。こうしたモデルは、人間による土地の使い方が変わったら自然がどのような影響を受けるかを推測するために利用できます。

このプロジェクトでは、これまでに日本全国で集められた生き物の情報を活用して、今、日本の自然はどうなっているのかを評価・把握する方法を考えます。
様々な生き物が生息しているかどうかを、それぞれの種類ごとに環境条件から推定する手法を開発します。
農地、植林、市街地、牧草地など、土地がどのように利用されているのかによって、生き物の分布の有無がどう影響されるかも評価します。それにより、どのように国土利用をデザインすれば効果的に生き物を保全できるかを考えることができます。その際、産業構造の変化や人口減少などこれからの日本社会の変化のシナリオをベースにすることで、予測を現実的なものとします。
さらに、保全のためにかけられる予算が決まっている場合、それをもっとも効果的に使うにはどうしたらよいかという提言を試みます

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(プロジェクト3: 人為的環境撹乱要因の生物多様性影響評価と管理手法に関する研究)

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日本に侵入したさまざまな外来生物をどうしたら防除できるのか、
現場でのデータの蓄積とともにモデルを使って検討します。

このプロジェクトは、生物多様性への悪影響が心配される様々な要因のなかで、特に近年注目されているものを取り上げて、その影響を明らかにするとともに、効果的な対策に貢献することを目的としています。3つのテーマからなっています。
ひとつめは、侵略的外来生物がもともと日本に暮らしている生き物に与える影響を、小は遺伝子から大は生態系まで、さまざまなスケールで評価しようというものです。外来生物がどのように侵入し分布を拡大するのかを調べるとともに、分布拡大を予測するモデルや侵入しやすい場所の地図を作成します。これらにもとづいて効果的な管理の方法の提示を試みます。
ふたつめのテーマでは、遺伝子組換え生物の影響を調べます。農作物に人為的に組込まれた遺伝子が花粉を介して在来種の集団のなかに広がるプロセスの予測を行います。
みっつめのテーマでは、気候の変化が植物群落にどのように影響するかを調べます。とくに温暖化の影響が大きいと予想されている高標高地域の例としてチベット高原を調査地とします。長期間の変化のようすを観察するモニタリングのほか、モデルによる将来の予測も行います。

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