2012年3月30日 開催報告
地球温暖化と沿岸生態系の変化に関するワークショップ
山野 博哉
主任研究員
海水温の上昇にともなって海の生物が変化しており、その実態の把握と、今後の水温上昇に対する応答を予測することが必要とされています。国立環境研究所では、サンゴとそれに共生する褐虫藻のモニタリング(地球環境研究センター地球環境モニタリング事業)と、サンゴの温暖化応答に関する研究(生物多様性研究プログラムのプロジェクト3「人為的環境撹乱要因の生物多様性影響評価と管理手法に関する研究」)を2011年度から行っています。本ワークショップにおいては、大型藻類と魚類の専門家と、気候モデルによる将来予測の専門家をお招きして情報交換を行い、沿岸生態系のモニタリングと研究の方向性を議論しました。
各生物(サンゴ、大型藻類、魚類)に関して、現在行われているモニタリングと最近の変化が紹介され、その後にIPCC報告書に使われた気候モデルのデータセットを用いた予測が紹介されました。いずれの発表者も、日本は南北に長くさまざまな種の南限と北限が見られるため、水温上昇の影響が顕著であること、それぞれの生物をモニタリングするだけではなく、種間関係を考慮して沿岸生態系全体としてモニタリングを進める必要があるという認識を持っていました。また、水温の上昇が、生物の分布だけでなく繁殖などにも影響を与える可能性も紹介されました。気候モデルによる予測の図はインパクトがあり、今後ますます進むであろう生態系の変化に対して、モニタリングと予測の両方の面からの取り組みが必要であることが示されました。
今回のワークショップを機に、今後、研究者のネットワークを構築してさらに情報交換を進めることと、さらにはモニタリングサイトを揃えてモニタリングを行うことを検討することとし、ワークショップは無事に終了しました。
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地球温暖化と沿岸生態系の変化に関するワークショップ
プログラム
日時:2012年3月30日(金) 10:00-12:30
場所:国立環境研究所 地球温暖化研究棟1F 交流会議室
10:00-10:30:全体説明、サンゴの変化とモニタリング
山野博哉・杉原 薫・河地正伸[国立環境研]
10:30-11:00:藻類の変化とモニタリング
寺田竜太[鹿児島大]
11:00-12:00:魚類の変化とモニタリング
須之部友基[東京海洋大]、川瀬裕司[千葉県博]、
中村洋平[高知大]
12:00-12:30:気候モデルによる将来予測と影響評価
屋良由美子・藤井賢彦[北海道大]
関連リンク:
地球環境研究センター地球環境モニタリング事業ウェブサイト
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2012/5/11掲載
