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アリモドキゾウムシ

基本・侵入情報 参考資料リスト
基本情報
和名 アリモドキゾウムシ

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アリモドキゾウムシ
分類群 コウチュウ目 ゾウムシ上科 ミツギリゾウムシ科
(Brenthidae, Curculionoidea, Coleoptera)
学名 Cylas formicarius
英名等 Sweet potato weevil
自然分布 インドまたはインドシナ半島
形態 体長6~7mmほどの甲虫.アリのような形態で,吻は長く,頭部は黒褐色.触角は短く,末節のみ紡錘形で長い.前胸・中胸・触角・脚は赤褐色.上翅は青みがかった黒色~緑銅色に光る.前胸は中央部でくびれる.雄は触角末端節が著しく長い.
生息環境 ヒルガオ科植物(サツマイモなど)の塊根(イモ)に寄生.農耕地のほか,海岸などのハマヒルガオ等生息地にも分布.
繁殖生態 ヒルガオ科植物の塊根に産卵し,卵は7~8日で孵化.幼虫は塊根を食べて14~21日で蛹化.7~8日の蛹期を経て羽化すると塊根の外へ出る.成虫の寿命は2~3ヶ月程度(最長6ヶ月).雌は1世代あたり100~200程度産卵.
生態的特性 食性:幼虫はヒルガオ科植物の塊根を食害.
侵入情報
国内移入分布 小笠原諸島,大隅諸島(屋久島,種子島,口永良部島,馬毛島)・トカラ列島以南の琉球列島ほぼ全域,薩摩半島南部,高知県室戸市. 国内分布図
※必ずしも色が塗られた地域全体に分布するわけではありません
移入元 台湾と考えられている
侵入経路 ヒルガオ科植物の運搬に随伴
侵入年代 国内の初記録は,沖縄島1903年以前(1903年時点で既に大きな農業被害があった).その後以下のように分布拡大.奄美諸島1931年,トカラ列島1933年,口永良部島1951年,種子島1959年および1990年代,馬毛島1959年,鹿児島本土1965年および1994年,室戸市1995年.
影響 サツマイモ属植物,ハマヒルガオ,ノアサガオの幼虫による食害.農業被害(サツマイモの大害虫).成虫よりも幼虫による食害の方が甚大.
影響を受ける在来生物:ヒルガオ科植物,サツマイモなどの農産物.被害を受けたイモは黒く変色し,味が悪くなる.
法的扱い 検疫有害動物.また,アリモドキゾウムシ蔓延地域からのアサガオ属・サツマイモ属・ヒルガオ属植物の生茎葉と地下部,キャッサバの生塊根等の地下部は輸入禁止.加えて,本種の分布拡大防止のため,日本国内の北緯30度以南(トカラ列島以南の琉球列島,小笠原諸島)からのサツマイモの移動には検疫・消毒が必要で,アサガオ属・サツマイモ属・ヒルガオ属植物の生茎葉及び生塊根等の地下部は移動禁止(植物防疫法)
防除方法 フェロモントラップ.ノアサガオ等の野生寄主植物の除去.被害イモ,クズイモを外に放置しない(発生源になる).

不妊虫放飼・雄除去による防除事業が,久米島で行われている.
問題点等 情報整理中
海外移入分布 熱帯地域に広く分布.東南アジア・南アジア広域,オーストラリア東部,アフリカ熱帯域,マダガスカル,北米~南米のカリブ海沿岸域,アンチル,太平洋・インド洋島嶼多数.
備考
日本の侵略的外来種ワースト100

沖縄では,イモゾウムシと本種は「イリムサー」と呼ばれ,本種の被害により変色したイモは「イリムサーイモ」と呼ばれる.
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