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フェリーによるサンプリングの方式により、当初、東アジア海域を対象として、釜山(韓国)−対馬海峡−瀬戸内海−神戸を週2往復するフェリーに協力を依頼し、生物・化学的モニタリングを1991年に開始しました。この航路の選択にあたっては、人為影響が顕著な瀬戸内海、それほど顕著でない対馬海流域(黒潮が分岐した流れ)および季節に依存して対馬海峡に流入してくる揚子江起源の低塩分水を1つの航路でモニターして人為影響の勾配を把握する試みがありました。残念ながらこの航路は1993年に廃止になったので、その後は大阪−別府航路と大阪−那覇航路の2船により、人為影響の勾配を把握することに努めました。結果的には後出の4.観測結果のグラフにあるように瀬戸内海内部にも栄養塩濃度など人為影響の東高西低の勾配が顕著でした。このような特性は、瀬戸内海と外洋との海水流入や環境負荷の強弱が複合されてできたものであると考えられます。このサイトでは、主に瀬戸内海部分のデータについて紹介しております。
定期航路を利用するというユニークな方法により、従来の方法では得られなかった高頻度・長期間の時系列データが得られた結果、地球環境研究センターの試験モニタリングとしては2000年度末に一度区切りをつけました。その後2002年度に、環境省地球環境研究総合推進費の研究課題「グローバル水循環系のリン・窒素負荷増大とシリカ減少による海洋環境変質に関する研究」(課題代表:原島
省・水土壌圏環境研究領域海洋環境研究室長)の一環として、新たな目的と方式のもとに同じフェリーを使った現場実験が行われております。
このモニタリングで協力いただいた船舶は表1の通りです。当センターでは「南北太平洋上大気モニタリング」や「北太平洋大気-海洋間ガス交換収支モニタリング」でも同様に、定期航行する民間船舶の協力を得て、海洋環境の観測を進めております。
図1 航海観測航路
(瀬戸内海をクリックすると拡大図を見ることができます)
表1 観測海域と協力をいただいた民間船舶
| 航 路 |
観測年 |
船 名(所 属) |
| 神戸〜韓国釜山 |
1991〜1993
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フェリー檀皇(大阪国際フェリー(株)) |
| 大阪〜那覇 |
1994〜1998
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フェリーくろしお(関西汽船(株)) |
| 大阪〜別府 |
1994〜1997
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さんふらわあ2(関西汽船(株)) |
1998〜2005 |
さんふらわああいぼり(関西汽船(株)) |
私たちは、当初、人間活動によって海洋における物質循環が変質することを監視していくことが、重要な課題と考えました。具体的には窒素(N)やリン(P)、ケイ素(Si)などの変動の空間分布・時間変動6)と、この結果として起こる植物プランクトンの変動を把握することです。このほかにも、多くの研究者の協力により、海水溶存の二酸化炭素濃度、植物プランクトン種組成、粒子サイズ組成、海水に微量に溶けている有害化学物質の濃度、生物起源のイオウ化合物(ジメチルサルファイド)、台風の前後の環境変化など多様な計測が行われました。それらについて報告書4) や国外での出版物 5)で紹介するとともに、研究発表一覧、共同研究者・協力機関一覧にまとめてあります。
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